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なぜ日本の教育は間違うのか
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教育
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■教育界を席巻するフィンランド・イデオロギー

『なぜ日本の教育は間違うのか』
[著]森口朗 [発行]扶桑社


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 OECDが3年ごとに行う「数学リテラシー」「読解力」「科学リテラシー」の3分野による学力テスト(PISA)でフィンランドが2003年、2006年と2年連続して総合1位だった(2009年は都市だけで参加した上海が1位を独占しました)ことから、ここ数年教育界にはフィンランドブームが起きています。私は、それを否定しません。どんな分野であれ、自分よりも他者が優れている場合は相応の理由があるはずです。そこから謙虚に学ぶ姿勢は、向上心のある者にとって不可欠な態度です。

 問題はフィンランドから学ぼうと声高に叫ぶ人たちがイデオロギー的に偏っていることです。はっきりと書くならば左翼がフィンランドブームを煽っているのです。フィンランドは北欧型福祉国家のひとつですから左翼に評判がよいのは判るのですが、彼らが諸外国を賛美するときは、アバタもエクボというか、冷静さを欠いて何から何まで絶賛します。しかも、絶賛するのは自分の都合のよいところだけで、自分たちのイデオロギーに合わないところは完全に無視、黙殺するのです。これは、かつてソ連教育学に傾倒し、中国の文化大革命を絶賛し、北朝鮮を地上の楽園と言った思考と同様のものです。ですから、教育界のフィンランドブームは、学力を向上させようという国民的な声を利用し、ミスリードする「フィンランド・イデオロギー」と呼んだ方が適切でしょう。

 このようなフィンランド・イデオロギーによって、日本の教育がまた歪められては大変なので、ここでそれを潰しておきたいと思います。敵をしっかり認識するためにフィンランド・イデオロギーの輪郭を明確にしておきましょう。フィンランドを礼賛する人たちはフィンランドの教育について概ね次のように説明します。
(1)フィンランドの教育は競争を排除している。
(2)フィンランドでは少人数教育が実施されている。
(3)フィンランドでは習熟度授業を行わず、学力差のある子どもを一緒に学ばせる統合教育を実施している。
(4)フィンランドでは国民一人当たりにかける教育費が多い。
(5)フィンランドでは教育に関する権限が国ではなく自治体や学校にある。
(6)フィンランドの授業時間は日本よりもはるかに少ない。
(7)フィンランドでは教師が尊敬されており教育学部の人気が高い。
(8)フィンランドでは大学院を卒業しないと教師になれない。

 そして、フィンランド・イデオロギー本は読者を次のような主張に導きます。
(1)日本の学校は偏差値競争を強いられているからダメなのだ。全国統一の学力テストなどもってのほかだ。フィンランドを見習って教育から競争を排除すべきだ。
(2)習熟度授業は、子どもを選別し差別するものだ。その上教育効果がないのだから導入している自治体や学校はすぐにやめるべきだ。それよりも学級の人数をもっと少なくして丁寧な指導をすればよい。
(3)そのためには、教育にかける予算を増やす必要がある。政府も財界も金は出さないのに口は出す。フィンランドのようにお金をたくさん出して、介入を差し控えるべきだ。授業時間はもっと少なくてもよいのに文部科学省は学力低下論に押されて授業時間を増やそうとしている。これでは日本の子どもの学力は向上しない。
(4)フィンランドでは教師が尊敬されている。日本もそのようになれば教育効果が上がるだろう。そのためには教員養成を大学院にする等の方策が必要だ。

 
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