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インテリジェンス人生相談 復興編
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雑学
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相談8●真実と平和のシステムは立ち上がるのか?

『インテリジェンス人生相談 復興編』
[著]佐藤優 [発行]扶桑社


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 米原万理さん(ロシア語通訳・作家)が佐藤さんを推薦しており、今、集中的に読んでいます。もう少し早く貴殿の書物が刊行されていたら、新しいシステム構築の可能性があったかもしれません。以前はシステムで多少の歯止めがかかりましたが、人間の劣化に歯止めがかからず(特に政治家・役人・経済界のトップなど)、バカとイエスマンで運営され崩壊しています。どこまで無責任と虚が進行すれば、真実と平和のシステムは立ち上がるのか? ここまで虚の情報といい加減な人間がトップを走る時代があったのか? 西松建設事件もトップのB氏が関与しない限り、裏金づくりはありえません。部外者が社内を自由に出入りし、取締役が皆、背信行為を知りながらイエスマンになり会社を食いものにしています。

    神リュウド(ペンネーム) 56歳 男性 会社員

 

 
回答8●人間は統整的理念を持つことが必要です

 

 人間は性悪な存在です。私は、外務省という国営「会社」にいましたが、悪党の動物園みたいなところでした。私は『週刊アサヒ芸能』の連載で、「外務省ハレンチ物語」というタイトルの官能小説仕立てで、新入省員の研修生(見習い外交官)を「食べる」癖があり、そのセックスがらみのカネを公金から支出している外務官僚の姿を描きました。大変な反響で、モデルとなった人物は、白い眼で見られるようになり、出世にもおそらく(マイナスの)影響があると思います。

 神リュウドさんも、社外の人が知らない秘密を握っていると思います。そのまま書いても、暴露文書、場合によっては怪文書の扱いしか受けないので、官能小説に仕立てることをお勧めします。会社に長くいれば、幹部の不倫の一つや二つは、目撃しているはずです。不倫している幹部は、一人の例外もなく、会社のカネを不正流用しています。幹部のドスケベさと公私混同を派手な脚色をして自費出版してみると面白いです。商業出版社に持ち込むのは愚策です。あくまでも前の会社の健全化という大義名分(それにちょっとした復讐)に限定したほうが効果的です。

 親しかった同僚たちと総務部長に本を送っておけば、関係者はビビリあがると思います。

 人間は性悪な存在なので、人間が集まってつくる会社や政党も、悪を含んでいます。だから逆に人間は「真実と平和のシステム」の実現を本気で考えなくてはなりません。悪が溢れる社会で出世と金儲けだけを考えると、自分自身が悪にまみれます。たとえ近未来に実現せずとも「真実と平和のシステム」を夢見るのは、とても大切なのです。

 このことを見事に説明しているのが、思想家・柄谷行人さんです。私は、存命の知識人で、柄谷さんを一番尊敬しています。物事の本質を洞察し、それを的確な言葉で表す類い稀な能力があります。柄谷さんは「真実と平和のシステム」のように、人間の手には届かないように見える事柄を「統整的理念」、人間が設計図を描き、それに基づいて実現できるような事柄を「構成的理念」と呼びます。
〈マルクスはコミュニズムを「構成的理念」(理性の構成的使用)として考えることを一貫して拒否した。したがって、未来について語らなかった。(中略)しかし、このことは、彼がコミュニズムを「統整的理念」(理性の統整的使用)として保持していたことと何ら矛盾しない。それを「科学的社会主義」などと理論化して語ってしまうことが形而上学であり、マルクスはそれを斥けたのだ〉(『トランスクリティーク』9頁)

 マルクスは、「真実と平和のシステム」をコミュニズムと考えました。私は、マルクス主義者ではなく、神様を信じるキリスト教徒なので、地上における「真実と平和のシステム」は、「千年王国」と考えています。いずれにせよ、人間が何らかの統整的理念を持つことが必要なのです。

 

 
【参考文献】
『定本柄谷行人集第3巻―カントとマルクス―』
柄谷行人 岩波書店

 
'04年刊。カントによってマルクスを読み、マルクスによってカントを読むことで、社会主義の根源を明らかにする。
批判作業(トランス=クリティーク)実践の書
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