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大胆不敵な沈黙系男子【1】

『恋愛サファリパーク』
[著]神崎桃子 [発行]すばる舎


読了目安時間:5分
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 飲み会や合コンで相手の男がちっとも話さないので、お金は貰えないホステス嬢と化し、こっちが気遣ってアレコレ話しその場を盛り上げようと頑張ると、


 「君は僕と一緒にいると楽しいんだね……」


 などと都合のいい解釈をし、大迷惑な勘違いしてくれる寡黙系男子……。

 それに絡む「ありえない話」がある。


 ある男友達に、

 「いいヤツだから一度会ってやってくれよ~。真面目でほんっと、イイヤツなんだよ~」

 と何度も繰り返し言われ、その「いい人」とかいうK君を紹介された……、というより押しつけられた。


 桃子的には、この……

 「絶対、いい人だから!」

 とか

 「いいヤツなんだよ」

 というのを、不吉な予感として捉えている。


 友達が強く主張し、しつこくご推薦の「いい人だよ」って~のは、大抵当てにならず……。

 そして殆ど桃子には、いや大抵の女には、ヒットしない!!


 加えて、「いい人」は「どうでもいい人」で終わる可能性が高い!(これまでの数々の経験上からすると)


 で、あるからして乗り気はなかったが、「タダ酒を飲ませてやるぞ!」と、その男友達に言われ、「いい人」そのモノよりも、餌に喰らいつくことにした。


 その「いい人」K君は、案の定「融通の効かない、サービス精神ゼロ」の〈ウルトラ沈黙系男子〉で、外見も残念ながら爆笑問題の田中を痩せさせた感じ。

 いや、コチラを笑わせてくれる田中ならいい! 沈黙系の田中は論外である。


 そのK君は初対面の飲み会で桃子より先に

 つぶれた……。


 その後……

 存在感の薄い、爆笑させてくれないK君のことなど、すっかり忘れていたところに、男友達から連絡がきた。


 「初回は緊張して失敗してしまったみたいだ。もう一度チャンスをあげてくれ!

 いや、頼むから、後生だから、何度か会ってやってくれ!

 あいつの良さは一度ではわかりづらいんだ!!」


 と、めちゃくちゃ強くK君をフォロー。

 そりゃぁ、一度会っただけでその人の本当の姿は見えてこないだろう。

 知り得ないイイ所もあるだろう。


 確かに一度会っただけで決めつけるのは、良くないとも思う。


 でも……、ねぇ……。


 しかし「ヤツの人間性をキチンと見てくれ!」と懇願されると悩んでしまう。

 普段強がっている人間ほど他人の頼みごとには弱い……。


 「一度会っただけで彼の事はわかったわ」と決めつけてしまうのはさすがにできず……。


 その友達の念押しに……男の友情とやらに……

 負けてしまった、負け犬桃子。


 そして2、3度会った上で付き合うか断るかを決める、

 ということで話が成立してしまったのだ。


 後日、そのK君本人から連絡が来た。

 「映画でも見ませんか? 見たいものありませんか?」

 普段は映画に出掛かるのは銀座や渋谷、お台場などが多いのだが、その時は六本木に行くことに決まった。

 第一回の飲みで失敗したK君は、今度はヘマしたらいけないと相当試行錯誤したに違いない。


 約束した映画デート……その日は雨だった。

 K君は六本木ヒルズの映画館まで、雨に濡れずに目的地近くまで行ける地下鉄の出口まで、スムーズに案内してくれた。


 東京メトロ地下鉄の出口はたくさんあり、ひとつ間違えるととんでもない所に出たりする。

 「すごい詳しいんだね」と言うと、彼は即座に答えた。


 「朝下調べに来たんです!」


 へ? ワザワザ?

 埼玉からぁ~?(彼は埼玉に住んでいる)

 迷わないように下見?

 一度歩いたってワケ??


 ……さらに、

 映画の後、何処で食事をするか、何を食べるか? ということになると、なんと、K君は誇らしげにバックから

 『るるぶ』

 を取り出した。


 しかも、気になるページは全部ポスト・イットで貼ってあり、

 さ、さらに

 お勧めの店とメニューを蛍光ペンで引いてあるではないの!!


 ア、アンダーライン……。

 久しぶりに見たライン。

 学生のテスト前じゃないんだから。

 ココ、重要~覚えろってか?


 彼の目一杯の頑張りと気合の入れ方とは裏腹に、こっちはテンションダウン。

 男と女の仲は相手の方が必死になればなるほど興ざめしたりする「反比例の法則」


 そして、本日の映画デートの締めのディナーは、ポスト・イットで貼られていたスペイン料理の居酒屋にて行われた。

 周りの賑やかで熱~い会話と楽しそうな笑い声を聞きながらコチラは、なんとも静かなテーブル。


 イエ~ィ!

 ……ちっとも盛り上がってな~い。

 ひとつの会話のやりとりは大抵30秒で終わる。


 K君はひたすらグラスを口に運ぶことしかしない。

 コチラもしこたまワインをガブ飲み。

 コレじゃぁ、独り飲みとかわんないぢゃん?


 さて、ソロソロ帰ろうか……という段階になって、話題の少ないK君が、突拍子もない大胆なことを言ってきたのだ。


 「今度、旅行でも行きませんか?」

 へ? リョ、旅行~~?


 「け、結婚を前提にお付き合いしたいんです!」

 け、け、け、結婚???


 「ちょっと、待ってよ! そんな簡単に決めちゃ駄目だよッッ!! こないだ初めて飲んだだけでさ(←しかも彼はつぶれた)。

 アナタ、私の何がわかるっていうの?

 私のことまだ何もわかってないじゃない? 私もアナタのこと何も知らないのよ!」


 彼はすかさずバックから、大きな茶封筒を出し、

 「これでよろしくお願いします」

 頭を下げた。


 何じゃ、こりゃ?

 なんだか得体が知れない大きな茶封筒を開封。

 ナニ~~ッッ? コレ!


 出てきたのは、健康診断書と源泉徴収票……。

 「これで僕のことがわかってくれましたか?」


 ゼンゼ~ンッッ!

 わかんね~よっ!!

 そ~ゆ~ことじゃねぇんだよっ!

【教訓】

 先走りや焦りは禁物! すぐ〈結婚〉を口にするのは「自分は残り物だ」宣言しているようなもん。自分に自分で安値をつけ、相手に押し付けても絶対売れない! そして誰も買わないものなど、誰も欲しくはないのだ。
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