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嘘だらけの日米近現代史
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歴史
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はじめに――番犬様との付き合い方を考えよう!

『嘘だらけの日米近現代史』
[著]倉山満 [発行]扶桑社


読了目安時間:6分
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 われわれ日本人が生きていくうえで、アメリカというものをどのように考えればいいのでしょうか。アメリカはわれわれ日本人にとって、切っても切れない厄介な存在です。幸か不幸か、間違いなく当分は。

 確かに、「好きで好きで仕方がない」という人には眉をひそめたくなります。でも現実には「嫌いだから遠ざける」というわけにもいきません。

 そこで、アメリカとの付き合い方を考えようというのが本書の目的です。

 ところで、アメリカ合衆国、あるいは在日米軍のことを「番犬様」と呼ぶのをご存じでしょうか。これはなんと、日本政府の公式見解です。国会の議事録には次のようにあります(第51回国会 衆議院外務委員会 第5号 昭和四十一年三月十八日)。

○椎名国務大臣 核兵器のおかげで日本が万一にも繁盛しておりますというような、朝晩お灯明をあげて拝むというような気持では私はないと思う。ただ外部の圧力があった場合にこれを排撃するという、いわば番犬――と言っちゃ少し言い過ぎかもしれぬけれども、そういうようなものでありまして、日本の生きる道はおのずから崇高なものがあって、そしてみずからは核開発をしない。そして日本の政治の目標としては、人類の良識に訴えて共存共栄の道を歩むという姿勢でございます。ただ、たまたま不量見の者があって、危害を加えるという場合にはこれを排撃する、こういうための番犬と言ってもいいかもしれません、番犬様ということのほうが。そういう性質のものであって、何もそれを日本の国民の一つの目標として朝夕拝んで暮らすというような、そんな不量見なことは考えておらないのであります。


 わざわざ、「番犬ではなく番犬様」と言い直しているのです。皆さんはこれをどうお感じになるでしょうか。

 最近は地方都市や都市ですらない片田舎にまで中国語や韓国語があふれていますから、「外国といえばアメリカ」という感覚は少し薄れてしまったかもしれません。

 また、最近の大学生は日本とアメリカが戦争をしたことすら知らないそうですから、その昔に比べるとアメリカに対する感覚は相当違ってきているのかもしれません。とはいえ、「世界最強の大国」というイメージは根強いですし、「日本を支配しようとする悪い国」という陰謀論も大変人気があります。アメリカと利害が一致する事柄、特に安全保障についてまともな意見を言う人に対しても「アメポチ」といった左翼のようなレッテル貼りをする自称「真正保守」の人たちがいるのも事実です。やはり、まだまだ日本人の潜在意識には「外国といえばアメリカ」というコンプレックスが刻み込まれていて、どうしても「嫌米」「反米」とか、逆に「拝米」「媚米」のように、極端に流れてしまいがちなのかもしれません。

 アメリカとはTPPなどのような個別の問題でもめることはあっても、最終的には「人間の自由は大事だ」という価値観を共有している相手ですし、あらゆる意味で最大の友好国であり、同盟国です。その点をよく考えれば、「アメポチ」とか、「嫌米」といった稚拙な感情論がいかに無意味で、危険なものであるかは明白です。それこそ椎名外相が、軍事的には守ってもらいながらも、精神的には媚びないどころかむしろ「番犬様」と余裕を見せたように、私たちもこの問題について現実的にアプローチしていく必要があります。

 ところが、実は、日本人は意外とアメリカ合衆国のことを知りません。なぜなら、日本の歴史教育において、「アメリカ史」は存在せず、世界史の中でも建国から1920年ごろまでのアメリカの扱いは極めてマイナーな存在でしかないからです。

 そこで、本書では、アメリカとはどんな国なのか、これまで日本とどんな付き合いをしてきたのかについて、その歴史を中心に紹介していきたいと思います。アメリカという国には、強迫神経症のように繰り返す一定の歴史のパターンがあります。それさえ知ってしまえば、実は「番犬様」のコントロールはそれほど難しいものではありません。戦前にもこの点を見切って対米関係に関して卓越した意見を持っていた政治家や官僚たちがいました。本書ではこういう人々の知見も紹介しようと思っています。


 さて、本書は次のように構成されています。

 第一章では、「日本人が知らない等身大のアメリカ」をご紹介します。結論から言うと、アメリカ合衆国は引きこもりがつくった国です。

 第二章と第三章では、日本とアメリカが出会ってから、世界はどうなったのかを見ていきます。アメリカだって最初から世界一の大国だったわけではありません。日本人が自覚していないだけで、引きこもりだったアメリカにとって、日本という国との出合いは決定的に大きかった。そこで「日本の対外政策とアメリカ」を見ていきます。

 第四章から第六章は、現代の話です。今度は逆に、日本が引きこもりになっていく時代です。「アメリカの世界政策のもとでの日本」を知り、今の世界と日本がどうなっているのかを読み取っていきます。

 本書をとりあえず一読してください。通説、つまり、「日本人が信じている、教科書的アメリカ史」がいかに嘘にまみれているかがわかると思います。

 そして、三つのコアメッセージさえ理解できれば、アメリカとの関係はそう難しくありません。

その一、アメリカはバカ!
その二、アメリカはヘタレ!
その三、でも、やるときはやる!


 映画『メジャーリーグ』をご覧になった方はいらっしゃるでしょうか。『メジャーリーグ2』と『3』ではとんねるず石橋貴明がハリウッドデビューしたあの映画です。「バカでヘタレだけど、やるときはやる」アメリカ人たちが、ダメ野球球団を栄光へと導く物語です。まさにアメリカ合衆国という国の、いいところと悪いところを象徴するかのような映画でした。

 極端に美化されたり、あるいは悪魔化されたアメリカではなく、等身大のアメリカ合衆国の歴史から何かを学ぼう。それが本書の狙いです。

 日本人は間違った歴史認識にとらわれているので、正しい処方箋が見つけられないでいる。だから正しい歴史を知らなければならない、との想いで私はこれまで何冊かの本を書いてきました。

 現代日本は明らかに病んでいます。政治にしても経済にしても、問題だらけです。

 本書でアメリカという最も身近で、しかも少し厄介な隣人との付き合い方を考えることを通して、読者の皆さまが日本の外交と安全保障における正しい処方箋を見つける一助になればと考えています。
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