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エピローグ ミライ

『依存症』
[著]倖田梨紗 [発行]_双葉社


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グラビア復帰の喜び


 


 出所してからの私は、しばらくの間、実家で静かな生活を送っていました。ただ、どこかで、


 ――汚れたままの倖田梨紗をこのままにしておきたくない。


 という思いがありました。でも、出所してすぐに復帰なんて、そんなことは許されないのは自分でもわかっています。とにかく、静かに。タイミングを待って。そう思いながら、日々を送っていました。


 そして、出所から1年ちょっと経った頃、事務所の社長に相談し、私の気持ちを伝えることにしました。


 それからすぐ、運がいいことに、グラビアと今回のこの本のお話をいただくことができました。でも、どこかで、


 ――本当に実現するのかな……。


 そんな不安があったのも事実です。ただ、それは無用な心配に終わりました。


 グラビア復帰は10月に発売される『週刊大衆』。撮影は、なんとあの加納典明さんが撮ってくれることに決まったのです。


 それと同時に、今回の本を書く作業を進めていきました。幼少期からいままで、自分がどうやって生きてきたのか。何を思っていたのか。記憶を掘り起こす作業です。


 9月19日。撮影の日がやってきました。前日は緊張するかな、と思いましたが、AVの頃と同様、不思議と緊張せず眠りにつくことができました。


 朝9時から早稲田のスタジオに入り、典明さんに挨拶をさせていただき、メイク室に。ここから少しずつ緊張していきます。そして、本当に久しぶりの撮影がはじまりました。現場は典明さんの気配りもあって和やかな雰囲気です。


 ――ああ、この感覚だ。楽しいな。


 次々に場面を変え、衣装を変え、メイクを変え……。さすが典明さんです。奇抜でおもしろいカットをたくさん撮ってくださいました。


 ――ここに戻ってこられてよかった。


 一日がかりの撮影でしたが、終わったあとは心地よい疲れと充実感が身体全体を満たしたのを覚えています。


 ――これが私の新たな第一歩なんだ……。


 加納典明さんに撮ってもらえて、本当によかった。典明さんには、本当に感謝しています。ありがとうございます。


 


 グラビアは1022日発売の『週刊大衆』に掲載されました。いままで自分の載っている雑誌をじっくり見たことはほとんどありませんでしたが、今回は隅々までチェックしました。周りの友達とかも買ってくれて、「キレイだったよ」といってくれます。自分自身ではよくわかりませんが、周りの大事な人たちからそういってもらえたことで、少しは自信がついたかなと思います。


 

クスリの恐ろしさ。依存の怖さ


 


 私にはクスリを一緒にやっていた友達が何人もいました。クスリを縁に仲よくなった子も何人もいる。いくら仲がよくなっても、クスリでつながった関係は、結局、クスリがなければ成立しないものでした。


 銀座のホステスをしていたMちゃんは、姉妹のように仲がよかったし、いまでも会いたいと思います。ですが、会えないんです。いま二人とも薬をやっていなくても、会ってしまえばクスリをやっていたときの思い出が蘇ってしまうからです。


 仲よくしたい人とも、クスリを一度でも一緒にやってしまえば、また手を出してしまう可能性があるんです。クスリは大切な存在を奪い去っていきます。本当になんのプラスにもならないし、おカネも時間も無駄になる。クスリをやっていた時期を思い出しても、何も楽しかったことはありません。何もかもが(おろそ)かになり、何もやる気がしなくて、何もせずに一日が終わる。人生において、なんの意味もない時間を使うことになってしまうんです。


 クスリの再犯率は7割だといいます。だから、

「またクスリをやるに決まっている」


 そういわれてしまいます。実際、私も一度は、その7割に入ってしまいました。ただ、二度目の逮捕のとき、絶対にもう二度とクスリには手を出さないと決めました。刑務所にいたときは、クスリをやりたいとも思わなかった。ただ、出所するときは少し怖かったんです。もしかしたらまたやりたくなるのかもしれない、と……。


 ですが、出所して1年8カ月が経過したいまでも、クスリをやりたいとは思いません。それは、クスリをやっている人たちとの縁を切り、自分からクスリを遠ざけ、無用なものだと心底わかったからです。クスリの誘惑はありません。出所してから知り合った人たちは、クスリなんて絶対にやらないという真面目な人ばかり。自分がクスリをやってたから、やっている人がわかるんです。接してきてるからセンサーが働くのだと思いますが、そういう人たちには近づかないことが一番だと学びました。


 もう大丈夫。身内をはじめ、大切な人たちに迷惑をかけたくない。失望させたくない。それ以上に、自分のためなんです。クスリなんかで、人生の大切な時間をムダにしたくありません。


 19歳でAVデビューし、ジェットコースターのような()(とう)の数年間を過ごしてきました。何もなかった自分が突然、有名になり、それまで持ったことのない大金を持つことで人生が一変しました。AVの仕事が忙しくなって、何もなかった菊地有紗は、倖田梨紗になって、一気にたくさんのものを持ちすぎてしまったんです。


 AVの仕事は楽しかったけれど、プライベートでも倖田梨紗を求められることが段々と(きゅう)(くつ)になっていきました。ずっと倖田梨紗を演じていることに疲れていたのかもしれません。いま思えば、倖田梨紗でいた数年間がとても長く感じます。菊地有紗でいる時間がなくなり、四六時中、倖田梨紗でいなければならなかった。だから、AV女優をやめたときに突然、何もなくなってしまいました。


 そこで、クスリに走った結果、どん底まで落ちてしまったんです。でも、いまは菊地有紗を取り戻せたし、倖田梨紗とのバランスの取り方も、息の抜き方もわかったから大丈夫。クスリに頼っていた弱い自分はもういません。


 

こんな私でもできること


 


 タレント活動を再開したのは、倖田梨紗という大切な名前を、汚してしまったままで終わらせたくなかったから。どんなふうに見られるかはわからないけれど、今後の私を見ていてほしいと思っています。


 AV女優に復帰することは、いまのところ考えていません。今後やっていきたいのは悩み相談。たぶん普通の人よりは、とんでもない経験をたくさんしているので、同じようなことで悩んだり、誰にもいえなくて苦しんだりしている子の話を聞いてあげられるんじゃないかな、と思っています。


 悩んでいる人を支えてあげたいんです。たくさんの人を見てきたし、自分が経験したことでなくても具体的な例を出して解決策を出せればと思います。


 実はそのための準備も現在しています。近いうちにご報告できると思います。


 その先の大きな夢でいうと、女性のために、外見から自信をつけてあげる仕事をしたいと考えています。服・化粧・体作り・ヘアメイク・スタイリングなど、メンタル面もサポートできるようなことがしたい。外見ばかりと思うかもしれませんが、内面をキレイにすることに外見は不可欠。心がすさんでしまうのは、自信がないからだと思うんです。


 外見がキレイになって自分に自信がついたら視野も広くなって、心の余裕につながっていきます。心に余裕ができれば、そのとき悩んでいること、苦しんでいること、彼氏との関係とか、親との関係に一人で思い悩まず、「誰かに相談してみよう」とか「ちょっとゆっくり考えてみよう」と思えるようになるはずです。


 私は、それができずに、とにかくその時々の自分に近い人に「依存」して生きてきてしまいました。


 新しい彼ができないと前の彼と別れられない“チェーン・ラブ”状態。捨てられるくらいなら束縛されてもいいと思っていました。古くは母の蒸発で心を閉ざしてしまい、母との生活が戻ってくると元気を取り戻すといったこともありました。


 その行きついた先が“クスリ”だったんです。


 そして、二度の逮捕。2年間の服役という取り返しのつかない代償を背負うことになってしまいました。


 ――二度とこんなことはしない。


 そう固く決意しました。


 ――二度とこんなことはさせたくない。


 その手伝いができればと思っています。


 この本を書かせてもらったことは、その第一歩です。クスリに溺れた女が何を偉そうに、という方がいるのも承知しています。批判があるのは当然です。でも、何もしないよりは、何かをしたほうが、絶対に誰かのためになると思うんです。


 あとは、今後の私の行動を見て判断していただければと思います。


 最後に、お母さん、おばあちゃん、お兄ちゃん。本当にこれまでごめんなさい。有紗は、これから、まっすぐ自分の目標に向かって頑張ります。見ていてください。


 

2012年11月        菊地有紗(倖田梨紗)

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