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IT企業という怪物 組織が人を食い潰すとき
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政治・社会
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希望は独立

『IT企業という怪物 組織が人を食い潰すとき』
[著]今野晴貴 [著] 常見陽平 [発行]_双葉社


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 会社員では未来がないと、自由な(うな)(ばら)へ飛び出す者もいる。一章でも触れたが、「独立」つまりはフリーランスとして自分の力で生きていこうという独立独歩のその人だ。


 そのなかで、自宅やカフェなど、いわゆるオフィスではない場所で、デジタル機器やネットを活用し、いつでもどこでも働くという人もいる。あたかも自由人らしいそうしたワークスタイルは、「ノマド」と呼ばれている。ここ数年で急速に広がった言葉で、若者を中心にムーブメントを巻き起こしつつあるものだ。


 2009年に刊行されたITジャーナリストの()()()(とし)(なお)氏による著『()(ごと)するのにオフィスはいらない』(光文社)には、こうある。

〈ノマドという言葉をご存じでしょうか?


 日本語に直訳すれば、「遊牧民」。北アフリカの砂漠や中央アジアの草原で、羊や牛を追って生活している彼らが、ノマドです。〉

〈でも本書で語るノマドは、遊牧民のことではありません。


 遊牧民がラクダという砂漠で最強の乗り物を駆り、オアシスからオアシスへと移動しながら生活しているように、狭苦しいオフィスを出て、さまざまな場所を移動しながら働いている人たちです。


 言ってみれば「オフィスのない会社」「働く場所を自由に選択する会社員」といったワークスタイルを実践している人たちのことです。〉


 この考え方は、多くの若者の励みになっただろう。現状では、働く者全員に明るい未来が確約されているとは言い難いし、そもそも日本の企業組織は、世界語としての「過労死(karoshi)」を生み出すほどに過酷であり続けているからだ。

〈正規雇用が消滅していき、すべての人々が契約社員やフリーランスとなる社会へ。


 会社に頼っていれば何とかなった時代から、自分自身で人生を切り拓かなければならない時代へ。〉


 だから、個々人に訪れる雇用の危機に立ち向かっていこう――ノマドとして生きていかざるを得ないのなら、そこに前向きな希望を見出し歩いていこうと()()しているわけだ。



 あらかじめ結論を書いておくと、私はノマド、フリーランスには、ポジティブな面とネガティブな面が同居していると思っている。会社組織から逃れたいという衝動には、強く共感するし、そうした欲求・欲望が、今の日本の働き方を変える原動力にもなり得る。要するに、「嫌だ」「変えたい」「新しい働き方をつくりたい」、こういう衝動自体は、とても前向きなものなのだ。


 しかし一方で、これはあくまでも単なる「衝動」であるために、具体的な社会を動かす力になりにくい。そうすると、「組織から逃れたい」という気持ちは、逆に悪徳経営者に利用されて、もっと酷い働き方に、巧みに追いやられてしまう。それが現実だ。だから、本書では、こうしたノマド欲求に含まれる潜在的な力と、それが活かされていない構図をうまく示していきたいと思っている。



 このノマド、IT業界にやたら多いのである。ITの業務は業務ごとにわりと資格がはっきりしているものも多いので、その部分だけを「委託」で引き受けやすいのだ。また、業務の内容次第では、自宅のパソコンで処理できるものもある。データのやり取りもネットを使えば簡単なので、会社に行かずに仕事をするイメージに結び付きやすい。


 さらには、IT業界に「独立して成功した伝説」が多いことも一因だろう。


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