『<戦国時代>徹底比較! 信長と謙信 共通点と違い』
[著]橋場日月
[発行]学研
前項で述べたように、謙信と信長はどちらも絶対権力者として家臣団に君臨した。従って、それぞれの戦略もまた謙信・信長自身の判断で構築されたわけだが、その戦略内容にはだいぶ違いがある。
謙信の政・戦略に関していえば、まず第一に永禄四年(一五六一)の関東管領への就任に象徴される関東経営への執心が挙げられよう。謙信といえば朝廷・幕府に対する敬意も篤く、上洛も実行したものの、その目はやはり主に関東に向けられていた。