『<戦国時代>徹底比較! 信長と謙信 共通点と違い』
[著]橋場日月
[発行]学研
二人の戦術面での違いとなると、代表的な例は「土木」と「物量」、「鉄炮」に表れているといえるだろう。
謙信の合戦は、これは圧倒的に短期決戦指向の白兵戦主義である。合戦にあたり、土木作業による拠点構築をするにはするのだが、それはあくまでも宿営としての拠点であって、決戦はあくまでも純粋に白兵戦術で行われた。
また、謙信は「我に八千の兵があらば、如何なる大敵も撃破してみせよう」と豪語したといわれる。実際、「上杉家軍役帳」を見ると謙信の軍団編成は八〇〇〇以下の人数で行われており、謙信が小部隊戦闘を得意としたことが窺われる。