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あとがき

『真っすぐに生きる』
[著]井上尚弥 [発行]扶桑社


読了目安時間:3分
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 プロボクシング界には過去、たくさんの「エリートアマ」と呼ばれる選手が現れて、期待に応えた選手も、そうはいかなかった選手もいた。


 事前に入ってくる情報は、戦績や○○冠王という肩書きだけで、そこにどんな中身が詰まっていたのかまで、見られることはほとんどない。


 僕も例外ではないし、プロ関係者やメディアの皆さんは今でも、僕が何者なのか探っている段階だと思う。何しろ、まだ5試合しか戦っていない。小柄なうえに、数値化した運動能力は「凡人」と出ているのだ。


 それに僕のボクサーとしての完成度は決して高くない。


 この本の制作にあたって、僕のそうした「中身」を知ってほしかった。「怪物」という言葉の奥には「人間」の一面があって、それを見て、僕の資質を判断してもらいたい。


 誤解がないよう、最後に書いておきたいのは、大橋会長の「怪物」計画には本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。父や母とはまた異質ながら、僕へ懸ける愛情は本当の家族のように大きい。


 今回、再確認できたのは、ボクシング以外でも井上家のスタイルは一緒であることだ。


 執筆は、突っ走るような勢いで進み、結局、父との連携となった。

「もう、昔の記録をいっぱい使って。あんまり難しいことを書かないの!」


 と、ご機嫌そうに言う父は、今日も大好きな晩酌へ入っている。


 父は本当に酒が好きで、加えてとにかく強い。


 ただ昔、泥酔して帰って来たところを、家族全員で羽交い絞めにしてやっつけたことがある。でもいま思えば、それだけお酒が好きなのは、家族のために頑張って、時に大きなストレスを抱えているからかもしれない。



 編集部から、最後のまとめ方に要望があった。


 それは、僕にとって父とは何か、家族とは何か、ボクシングとは何かで終わらせてほしいというもの。


 一番難しい質問だ。

「うまく説明できない」


 それが僕の僕らしい答えだと思ってほしい。


 そして、理屈は父に……と回してしまう流れが井上家式だが、今日はもう難しそうだ。


 そう思っていると、父は答える気満々だった。

「井上家はこれ」と言って指したのは、晩酌のつまみにしていた刺し身だった。

「ナオやタクが刺し身で、お父さんがワサビ。どっちも大切な存在。で、母や姉という醬油があって、全部があって成立する。でもお前にとって、本当に大事なのは醬油だからな」


 父には当分、かないそうにない。そう思った。


 刺し身はワサビがなくても食べられる。でも、今の僕にはワサビのつんという刺激が必要だ。


 それにワサビ(父)のほうが刺し身よりも、醬油(母や娘)の存在にありがたみを感じているのかもしれない。父の母や姉に対する感謝の念には一点の曇りも感じられない。



 というわけで井上家をひと言でいうと「刺し身」です!



 僕はこれからも「怪物」をめざし「怪物」として戦い続ける。そこで、これを読んでくださった方にも、新しい井上ファミリー、裏の井上ファミリーとして、陰ながらでも応援して頂けると、この本を出した甲斐がある。ただ、実際の僕は普通の人間だ。だから、僕はチームワークを愛しているし、負けないために必死になっている。


2014年4月 井上尚弥

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