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ダルビッシュの背負う十字架〜超えるべきメジャーの壁〜
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【第1節】メジャーを二分したダルビッシュの評価

『ダルビッシュの背負う十字架〜超えるべきメジャーの壁〜』
[著]古内義明 [発行]扶桑社


読了目安時間:31分
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日本人選手は「売り手」から「買い手」へ

 イチローばりに無精ひげを生やした川宗則がアリゾナ州ピオリアにあるマリナーズのキャンプ地に姿を見せた。マイナー契約でマリナーズに入団した川は、キャンプ招待選手として、メジャーのキャンプに参加することになった。日本ではイチローの背番号「51」の一つ後ろの番号という思い入れから「52」を付けていたが、アメリカでは「61」に決めた。本人は、「逆から読んだら、イチ(1)ロー(6)だ」と笑うが、突き付けられたマイナー契約を考えれば、自虐的なギャグにしか聞こえなくもなかった。
「イチロー・チルドレン」の筆頭格といえば、やはりこの男しかいない。WBCの時、アリゾナにあるイチローの別宅に呼ばれ、弓子夫人の手料理を振る舞われてからイチロー一筋の野球人生は、ますます加速していった。シーズン中のメル友は言うに及ばず、オフになれば、神戸で自主トレをするイチローのもとに、福岡から飛んでいくような師弟関係になった。

 イチローがソックスを見せるオールド・スタイルにすれば、川もそれを踏襲し、自主トレのファッションも、イチローに右ならえと、うり二つでリスペクトを忘れない。極め付けは、川がヤフードーム入りする時に持参するショルダーバッグだ。イチローの出身校「愛工大名電」をもじって、「愛工大名店」と刺繍する特注バッグをオーダーするほど、川は徹底した「イチロー愛」を貫いている。

 1999年、ドラフト4位でソフトバンクに入団した川は、実働11年で打率2割9分4厘、369打点、27本塁打、267盗塁、出塁率3割4分5厘の成績を残した。2004年には盗塁王と最多安打をW受賞。その成績以上に、そのリーダーシップと野球にかける情熱は人一倍で、チームメイトからの信頼が厚い。2011年には8年ぶりの日本一に貢献しながらも、「イチロー選手と同じチームでのプレーだけを希望しています」と、海外FA権を行使してのメジャー挑戦を表明して、周囲を驚かせた。鹿児島工業では甲子園出場は無く、全国的には無名だったが、左打ちの俊足好打で、「サツロー(薩摩のイチロー)」と呼ばれた川の悲願は、メジャーでの「イチローとの共演」だった。

 前代未聞のメジャー移籍会見だった。マリナーズからオファーがない場合はソフトバンクに残留するが、「マリナーズなら、たとえマイナー契約でもかまわない」と話し、契約内容は問わない意向を示した。

 ソフトバンクの王貞治会長が、「一番痛かったのは川だね」と告白したように、川のメジャー移籍理由に関して、ソフトバンクのチーム内からも賛否両論があったという。球界の重鎮、江夏豊氏には、「(メジャーには)骨をうずめるつもりで行かにゃ。第一、日本のプロ野球、そんなに甘くないよ。メジャーでの失敗は、選手として『カス』になったということを自覚せんといかんな」と指摘され、張本勲氏からは、「イチローのお手伝いじゃない。プレーヤーなんだから」と、テレビ番組内で喝を三連発も入れられる始末だった。

 ウィンター・ミーティングで日本人メディアから、川に関して水を向けられたマリナーズのエリック・ウェッジ監督は、「彼は、シアトルやこのウェッジとプレーしたいというよりも、イチローとしたいんだと私は思う。それだけ言えば、十分だ」と、ピシャリ。また、マリナーズのジャック・ズレンシックGMも、「ずっとスカウトを送り、プレーを見てきた。イチローと親密だということも聞いているし、(イチローの代理人の)アタナシオからも川のことは聞いている」と明かした。ただ、内野の補強ポイントは、「強打の一塁手、もしくは三塁手」というチーム事情も付け加えられた。スピードはあっても、体の線が細く、肩も弱い川が内野手として、どこまで通用するかは未知数。獲得候補としては、マリナーズ、ドジャース、ブリュワーズ、ジャイアンツの名前が挙がっていた。
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