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告白 秒速で転落した真実
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はじめに 僕は間違っていた――

『告白 秒速で転落した真実』
[著]与沢翼 [発行]扶桑社


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「与沢翼 秒速でホームレスへ 涙の告白」――


 高級外車を乗り回し、高級マンションに住む。毎晩六本木の夜を闊歩しては札束をまき散らしながら、大勢の美女と浴びるほどの高級シャンパンを飲む。ネオヒルズ族と称され、31歳にして絵に描いたようなバブルな男。まさに私は、それを体現していた。


 ところが、2014年4月26日、税金の滞納により、会社が経営破綻寸前になっていることを自身のフェイスブックとブログで告白した。会社自体は創業以来3期連続の黒字でありながら、約3億円の税金を滞納したため、国税局、都税事務所の差し押さえに遭ったのだ。


 税金の支払いのため、会社の資金をすべて投入した。業務はかろうじて継続しているものの、社員の大量解雇や事業を大幅に縮小した現状では、メインの会社がいつ倒産してもおかしくない状況だ。


 私がブログなどで発表した内容は、ヤフーのトップニュースをはじめ、民放キー局、全国紙やスポーツ新聞など多くのメディアで報道されたので、記憶に新しい人も多いだろう。報道の直後、ネットを中心に、私を嘲笑する声が殺到していた。

「ほら、思ったとおり。あいつはやっぱり悪いことをしていたんだ」

「ざまあみろ」


 日本中からそんな声が、聞こえてくるような気がした。



 世の中に私の名前が知られ始めたのは、2013年1月ごろだろう。2冊目の著書『秒速で1億円稼ぐ条件』の宣伝として、都心の電車広告をジャックしたのがきっかけだと思う。「秒速で1億円を稼ぐ」という、ありえないキャッチフレーズの横で高級スーツを身にまとい、不遜に微笑む私の姿を見て、「この男は誰だ?」と話題になった。



 年収は億を超え、家賃数百万円もする都内の高級マンションを何軒も借り、フェラーリやロールス・ロイス、ベントレーで至るところに乗りつける。ブランドものを棚買いし、夜の六本木で毎晩のように豪遊。1億円の札束をテーブルに積み上げて、常に美女を何人もはべらせている。一度口を開けば、人を食ったような非常識な発言。絵に描いたような金の亡者――。



 しかしそれは、私自身が演出した“与沢翼”の姿だった。


 非現実的なほどに金を使いまくる私の生活は、人々の関心を引いた。マスメディアから「一度会ってみたい」と問い合わせが殺到し、私のプライベート生活を取材されることが増え、テレビや雑誌で私の生活が幾度となく報道された。


 私の豪奢な暮らしぶりや謙虚さとは程遠い強気な発言から、2000年代に時代の寵児となったホリエモンに代表される「ヒルズ族」と私を重ね合わせる人も多く、ヒルズ族の後継者として「ネオヒルズ族」と呼ばれることもあった。


 同時に、私がかつて暴走族で、過去に逮捕歴があること。数年前に一度アパレル会社を倒産させた後、すぐにまったく未知の領域だったインターネット情報ビジネスの世界で、わずか1か月、たった一人にもかかわらず、アフィリエイトで月数千万円まで売り上げを伸ばし、そこから業績を拡大させたことなども取り上げられるようになる。


 無名だった私は一転して、有名人になったのだ。



 一般感覚からかけ離れたそんな私の生活スタイルは、当然ながら世間の人々から反感を買った。「あいつは詐欺師だ」「与沢を陰で操っている大物スポンサーがいる」「実は前科者だ」など、さまざまな憶測が飛び交い、ネットやメディアで私に対する批判や黒い噂が流れる日々が続いた。しかし、どんなに多くの人に誹謗・中傷されようとも、私は動じなかった。


「悪事千里を走る」という言葉がある。


 悪いことをすれば、すぐにその噂は広まってしまう。だから悪いことはできないという意味の故事成語だ。だが裏を返せば、「いいことでは知名度は上がらないが、悪いことであればすぐに名前が広まる」ということでもある。


 インターネット情報ビジネスにおいて、実績も経験もない私が成功するにはどうしたらよいかが、私にはわかっていた。悪い噂を逆手に取り、自分自身の知名度を上げる。反感を抱かれないが関心も持たれない善人より、反感を抱かれてもより多くの人に関心を持たれる悪人を、私は選んだのだ。



 予想どおり、私の悪名は全国に広まった。どんなビジネスをやっているのかよくわからなくても、「与沢翼」「秒速の本の人」などと言われれば、たいていの人が私のことを知るまでになった。狙いどおりだった。


 自分の思い描いた戦略が成功し、私は少し浮かれていたかもしれない。だが、その一方で、メディア向けにあまりに派手な生活を送る私に注意を促す人も増えていった。次第に社員や恋人たちともすれ違いが生じ、人間関係が徐々に破綻しつつあった。それでも私はずっと思い込んでいた。自分が進んでいる道は絶対に間違っていない、と。



 しかし、そんな日々も2014年4月に終わりを迎える。


 私のメインの事業会社は破綻した。これまで築き上げてきた会社はもちろん、部下、友人、お金、3台の高級外車やすべての住居、信頼、名誉。そして、私のプライド。すべてを一挙に失った。


 これまでの「与沢翼」は終わった。


 そう、私は愚かだった。


 すべての責任は私にある。私は間違っていたのだ。



 そんな私に今できること。それは、これまでにあったことについてとことん考え抜き、そしてすべて詳らかにすることだと思う。とことん自分をさらけ出し、生き恥をさらし、世のみなさんのお叱りや批判を受けたいと思う。そうすることでしか、きっと私は前に進めない。


「金だけが人生のすべて」だと信じこんでいた私は、もういない。


 今の私は、高価なものはもう欲しくない。有名にならなくてもいい。ただ、自分の周りの人たちを大切にしたい。そのために、私は変わった。変わらなければならない。


 起きてしまった以上は、絶対に巻き戻すことができないのが人生である。まだ、私の進むべき道がどこなのか、はっきりしたことはわからない。だが、私は今、前を向いている。

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