しかし、納税額が判明し、役員の離反がわかった時点でも、私はまだ「節約しなければ」「浪費する生活を改めねば」などとはちっとも思っていなかった。
むしろ「もっともっとおもしろいことをやって、もっと稼げば税金の支払いなんてあっという間だ」「なんとかして現状維持をしなければならない」「3億円なんてたいしたことない、どうせすぐに稼げる」――そう思っていた。
これは、今考えてみれば、私の経済感覚が鈍化していたせいだと思う。普通に考えてみたら、3億円なんてそんな簡単に稼げるものではない。人の生涯収入なのだから。
でも、ただの飲み会でも高価なシャンパンを何十本も抜き、仕事に連動した海外旅行を繰り返していた。