朝鮮戦争が停戦に至ったきっかけは、スターリンの死でした。スターリンは三十年間もソ連の独裁者として君臨し、世界中を陰謀で振り回してきました。
その人物の死で国際政治は大きな変化を迎えます。
米ソ冷戦構造は明確でしたが、NATOという軍事同盟で結束する米英仏陣営に対し、ソ中両国は腹に一物も二物も抱えています。朝鮮戦争でソ連の関心が東アジアに向いているのを利用し、ユーゴのチトーはインドのネールとエジプトのナセルを誘って「非同盟陣営」を結成します。要するに、米ソどちらかの陣営に入る旗幟を鮮明にすると安全保障上の不都合が生じる国々が「非同盟」という「同盟」を結んだのです。特にチトーのユーゴは東欧でひとりソ連の圧力に抗していましたから、朝鮮戦争は絶好の機会だったのです。