『泣いて、病んで、でも笑って』
[著]今井メロ
[発行]_双葉社
実は私には、一度、中絶した過去がある。
最初に妊娠したのは二〇歳前後のことだった。その相手とは結婚するつもりだったし、その頃、すでに子供が欲しいと思っていたから、もちろん、私は産むつもりだった。ところが、彼から、「まだ子供を育てる自信がないし、できれば今回は諦めてほしい」と言われた。
「でも、産みたい」
「いや、ちょっと待って」
そんなことを繰り返しているうちに、お腹だけはどんどん大きくなってしまう。結局、私が折れて、泣く泣くお腹の子を堕ろすことになってしまった……。ただただ悲しい記憶だ。さらに、中絶がギリギリのタイミングだったため子宮に影響が残り、医師からは「今後、子供ができにくいかもしれない」と言われ、大きなショックを受けた。