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最後のイタコ
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ルポ・エッセイ
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●まえがき

『最後のイタコ』
[著]松田広子 [発行]扶桑社


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「人は死ぬと、お山さ行ぐ」

 青森県の下北半島では、昔からそう信じられてきました。

 そのお山が、「霊場・恐山」。

 私たちイタコが死者の魂をこの世に降ろし、その言葉を伝える「口寄せ」をおこなう霊山です。

 恐山に行けば、イタコに会える。多くの方は、そう思っているでしょう。

 しかし、イタコは恐山に毎日いるわけではありません。

 イタコは、恐山の菩提寺円通寺から許され、夏と秋のお祭り(夏の大祭、秋詣り)の期間だけ滞在し、口寄せをおこなっています。

 では、イタコはどこにいるのでしょうか?

 普段はほとんどのイタコが、青森県南部地方(八戸市を中心とした県東部)や津軽地方(弘前市を中心とする県西部)に暮らしながら地元で活動しています。

 私も、その中の1人です。19歳の時にイタコになり、すでに20年以上が経ちました。

 1980年代、300人はいたと言われるイタコも、高齢化が進みました。

 今、イタコは“絶滅危惧種”と呼ばれています。

 現在活動しているイタコは、10名以下。

 私を含めた40代のイタコ2人がいなくなれば、イタコという職業は消えてしまうかもしれないのです。


 イタコの語源には諸説あり、はっきりとはわかっていません。神に関わる仕事をする人、神の言葉を伝える人を、古代から「ミコ」「イタコ」と呼んだと言われています。あの世の魂を自分の体に乗りうつらせ、亡き人の言葉を伝えるイタコは、科学では解明できない特殊な能力を備えた存在です。

 そんなイタコという職業は、目の不自由な女性の生業(なりわい)として、古くから東北地方に存在してきました。厳しく長い修行に耐えられた者だけが、神仏とつながる特別な力を得てイタコとなり、神様の力をお借りして、口寄せの他に、お祓いや占い、神事などをおこなってきたのです。

 人間の体は滅んでも、魂は存在し続けます。

 そして、あとに残された人を思い、守り続けます。

 イタコは死者や神仏の代弁者として、あの世とこの世をつなぎ、人々の心を癒し元気づける役目を果たしてきました。日々、見えない世界から伝えられるメッセージを人々に届けるこの仕事を、私は自分の天職だと受け止めています。

 なぜ、目の見える私がイタコとなったのか。

 イタコという仕事が、本当はどのようなものなのか。

 そして、恐山という場所が、イタコが紡いできたあの世との絆が、現世の人たちにどのような力を与えているのか……。

 この本では、現役のイタコとして、私の仕事や半生についてお話しながら、今思うこと、感じることをお伝えしていきたいと思います。

 イタコである私の経験や思いが、どうかあなたの人生のお役に立てますように……。


 そう祈りながら、筆を進めていきましょう。
松田広子
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