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あらゆる就職情報は操作されている〜就活生はなぜブラック企業に入社してしまうのか!?〜
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第三章 ブラック採用を助長するやり口

『あらゆる就職情報は操作されている〜就活生はなぜブラック企業に入社してしまうのか!?〜』
[著]恵比寿半蔵 [発行]扶桑社


読了目安時間:31分
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●ネットやニュース、書籍で噂になり、人が集まりにくいブラック企業


 ブラック企業という言葉は知っていても、ピンとこない方もいるかもしれないので、ざっとおさらいしてみよう。インターネットの2ちゃんねるや、大手SNSなどから派生したブラック企業というスラングは、小池徹平が出演した映画『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』が公開された2009年ごろから急速に普及し、今や就活や転職活動をおこなううえで、必須のキーワードとなっている。2010年からは、「ブラック企業大賞」なるイベントまでおこなわれ、2012年にはネットの動画配信サイトで授賞式(?)の生中継までおこなわれた。またブラック企業関連の書籍も複数出版されている。

 ネットではさまざまな定義がなされているが、筆者は被害を受ける側に2つのタイプ、その前者のタイプの被害内容に3つのパターンがあると考えている。まず被害を受ける側だが、一つはいうまでもなくその会社で働いている従業員だ。そしてもう一つはその会社がおこなう営業行為により被害をこうむるユーザーや消費者である。後者は、ブラック企業が悪徳商法をおこない、無理無体な方法でたいして価値のないものを、あるときは騙し、あるときは脅して、あたかも高額な商品であるかのごとく装い、売りつける。その被害者だ。

 前者の被害内容は、従業員が肉体的に追い詰められる、精神的に追い詰められる、経済的に追い詰められるという3つのパターンがある。肉体的に追い詰められるというのは、過度の残業、暴力をともなったパワハラやセクハラで、従業員が肉体的なダメージを受けること。精神的に追い詰められるというのは、言葉の暴力や無視するなど職場でのいじめで、従業員が精神的に病んでいくこと。経済的に追い詰められるというのは、給与が普通の生活を営むには足りない低水準であることである。ブラック企業で働いている社員個々のケースについて詳細を知りたい方は、拙著『就職先はブラック企業』(彩図社)を参考にしていただきたい。

●契約金次第で、ブラック企業をも優良企業に見せるカラクリ


 ブラック企業はどのようにして人を集め採用するのか? 実は就職情報会社が暗躍する秘密がここにある。具体的にどのような付き合いをしているのか、筆者が大手就職情報会社の30代前半の男性ディレクターに取材したインタビューを掲載しているウェブサイト「zakzak」から引用してみよう。
「名ばかりIT企業H社と、先日倒産した事業者金融S社の仕事を同時並行でやっていたときは、毎日が地獄でしたよ。なにしろキング・オブ・ブラック企業の双璧でしたから。学生をだましているようで良心が痛みました。

 H社は社名からIT企業と勘違いされ、株式上場直後から株価が急上昇。経営陣は行け行けドンドン! の状態で、最前線の営業社員を叱咤激励していました。よくいえば成果主義。でも実態は、営業成績の悪い社員に上司が殴る蹴るの暴行も厭わないパワハラ体質の会社だったようです。

 入社案内の社員紹介の取材でカメラマンやコピーライターと、ある支社を訪れたときのことでした。ノルマを達成していた取材対象者の社員は満面の笑みで、自分が如何に優秀なのかをとうとうとまくし立てていましたが、隣のブースでは、優秀な営業成績を維持し若くして管理職になった上司が、年上のノルマ未達成の部下に罵詈雑言を浴びせていました。さすがに部外者の私たちがいたので、手は出ていませんでしたが、責められている部下は体を手で覆い、うずくまって顔面蒼白になっていました。

 S社も似たような状態でした。スケジュールの都合上、両社の取材が重なった日の夜は、ウイスキーをラッパ飲みして、うさを晴らし、頭を“強制終了”させないと眠れませんでした。

 そんな酷いブラック企業でも、大事な『お客様』。営業が話を取ってきて、私が必死に企画を練り、デザイナーに格好いいデザイン案をつくらせてプレゼンし、同業他社とのコンペに勝った案件です。学生受けするように、『若くても、やる気しだいで昇進できます』『この会社の未来は、これから入社されるみなさんの力にかかっています』という、問題を巧みにすり替えたコピーに、プロのカメラマン、一流のデザイナーの手によるビジュアルを施し、格好いい企業広告に仕立てるのです。どんなブラック企業でも、厚塗りの化粧を施こされた『見目麗しい会社』へと変貌して、学生の前に現れることになるワケです」

 こう話してくれたディレクター氏は、「自分でそんなブラック企業の『採用広告』をつくっておいて今さらなんですが……」と続けた。
「こうした悩みを上司に相談したこともあるんですよ。そうしたら、『おまえ、バカじゃないのか!?』と罵倒されました。『この不景気に普通の会社がそんなに採用予算が潤沢なわけないだろう! えっ! 人気のないブラック企業だからこそ、ウチにたくさん払ってくれるんじゃないか! そのお金からおまえは給料をもらって生活してるんだ! そのくらいおまえもわかって早く大人になれよっ!』と。ノルマが厳しい営業が仕事先を選り好みすることなく、割り切ってブラック企業からも仕事を取ってくるのは理解できますが、僕のようなクリエイターが、まるで犯罪のようなことをするのは、どうにも気の重いことです。無名でも優良企業の『採用広告』をつくりたいんですが、そういう会社は採用予算が少なくて営業も行かないんですよ。正直ブラック企業のお先棒を担ぐような真似はしたくありません。だって僕のつくった採用広告をみて人生が変わってしまう学生さんたちもいるんですから。
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