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震災裁判傍聴記〜3.11で罪を犯したバカヤローたち〜
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ルポ・エッセイ
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【CASE02】 「被災地まで帰りたい」詐欺

『震災裁判傍聴記〜3.11で罪を犯したバカヤローたち〜』
[著]長嶺超輝 [発行]扶桑社


読了目安時間:11分
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3・11当日に現れた見知らぬ男



 いったい、どれくらい歩いただろう。


 辺りが真っ暗になった頃、ようやく都内にある自宅マンション周辺の見慣れた道まで辿り着いた。左足の親指が、2歩ごとに鋭く痛む。マメが潰れたかもしれない。


 こんな日に映画を観に、わざわざ電車に乗って東中野まで出て行った、自分の決断と不運を恨んだ。決断というほど大げさなものではなかったが、大学は春休みなんだから、家で一人、大人しくしていればよかったのだ。


 腹が減った。通りがかりのスーパーで、必死の思いでゲットした、カップ焼きそばと炭酸飲料が今夜の食事。非常事態だ。何も食えないよりはマシだろう。


 買い物袋をひっかけた右腕で、部屋のドアに鍵を差し込むと、斜め後ろから、少しくぐもった声で「すみません」と聞こえてくる。驚いて肩をすくめながら、声のするほうを向いてみると、30代後半ぐらいのおじさんが立っている。見かけない顔だ。

「な、なんですか」

「すみません。あのぉ……」

「どちら様ですか?」

「自分は、下の階に住んでいる、河上という者ですけど」


 下の階? 引っ越しのとき、両隣と上下階に住んでいる人たちには、ちゃんと挨拶しなさいと、実家の両親に言われていたが、忘れていたなあ。お隣さんの顔がわからないや。

「そうだったんですか。いつも友達が来たとき、足音でうるさくしているかもしれませんね。

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