『<織田信長と浅井長政>信長の婚姻政策とお市の運命』
[著]小和田哲男
[発行]学研
織田信長の妹お市が北近江の戦国大名浅井長政にいつ嫁いでいったのかという点については諸説ある。一番早くみているのは『川角太閤記』の説で、永禄二年(一五五九)に婚約し、同四年(一五六一)に輿入れしたとする。
お市の生年は天文十六年(一五四七)とされているので、永禄四年には十五歳になっており、年齢的には問題ない。ところが、婚約したという永禄二年というのは、信長が今川義元を倒した桶狭間の戦いの一年前である。