さあ、親子でキャンプへ行きましょう。キャンプは社会を騒がせている、いじめや不登校、ニートの問題を解決するきっかけに必ずなります。勉強が不得手な子供も「みるみるできるようになりますよ」と言ったら、驚かれるかもしれません。それどころか、「そんなこと信じられないよ」と疑いのまなざしを向ける人がいるかもしれませんね。でも実際、キャンプにはそうした効能があるのです(詳しくは本文を読んでください)。子供が抱えている問題を解決させるだけではありません。お父さんたちが日頃、パソコンの画面に釘付けで一生懸命やっている作業や、会社内や取引先との人間関係などで、溜まりに溜まっているストレスだって、キャンプへ行けば、たちどころに吹っ飛んでしまう。いつもは会話がない親子関係も、急速に改善すること請け合いです。
現代社会の子供たちを見てください。少子化が一気に進んだために、親が子供に構い過ぎています。一人の子供にかけられるお金が増えたために、幼いころから学習塾や習い事をさせられ、子供たちは、まるで大人のようにスケジュールにがんじがらめにされています。また、親が子供の求めるモノ(ゲーム機や携帯電話など)をすぐに買い与えてしまうので、子供たちは、“ボタンを押せば”何でも手に入ると勘違いしてしまいます。食生活の西洋化の影響で身体だけは随分大きくなりましたが、骨は脆く、すぐに骨折をしてしまう子も多い。また、カロリーの摂取量が増えたがために、異常な肥満児が増え、「小児生活習慣病(糖尿病や痛風など)」に冒される子供も目立ちます。
一方で、環境の急速な変化によって、都会では子供たちが思う存分、身体を動かして遊べるような場所がなくなりました。ある統計によれば、東京オリンピック(一九六四年)以降、東京の男の子たちが遊ぶスペースは五〇分の一に減ってしまったそうです。
時間もない、場所もない、友達の数も減っている……。まさにナイナイづくしの状況の中で、子供たちにとって最も大事な体験──自然の中で、同世代の友達と群れて遊ぶ──ということが決定的に不足する事態に陥ってしまいました。そのことが子供の成長に大きな影響を与え、様々な病理や社会問題を引き起こしているのです。大人たちを取り巻く環境もひどい状態です。いつも仕事に追いまくられ、子供と十分に会話する時間もありません。ストレスによって精神を病み、年間の自殺者が三万人を超えるような国になってしまったのです。
こうした都会の日常生活は、人間が本来持っている生理のスピードを大きく超えてしまっている、と言えるでしょう。キャンプは、その時間をゆっくりと本来の姿にまで“巻き戻す”のです。大自然の中で、人間性を回復し、ストレスや悩み、しがらみから心と身体を解放してやることができるのです。そして、人間にとって極めて大事な「感性」を伸ばし、知性とともにバランスが取れた子供を育てます。これは遊園地やテレビゲームではできません。しかも良いことにキャンプには、それほどお金が掛からないのです。
ただ、ここまで読んで、「キャンプには興味があるけど、行ったことがないから私にできるかな」と不安に思われる方がいらっしゃるかもしれませんね。心配はいりません。“キャンプの達人”たる私が一から一〇まで、わかりやすく、皆さんをキャンプの世界へとご案内します。さあ、キャンプへと出掛けましょう。
坂田和人