1789年フランスに王政を倒そうとする革命が起こり、その影響が英仏海峡を越えてイギリスにまで及んできそうな雰囲気となりました。そうした状況のなか、立ち上がったのがE・バークでした。革命という熱狂のなか、人間の英知は消滅してしまうとの危機感が、バークを保守の思想の完成へと導いていったのです。
バークをみても分かるように、保守主義の思想は、非常に受動的です。自ら積極的に思想体系を打ち出すのではなく、新しい思想が登場した際、「そうした考えは人間を愚かにしてしまう」と異議を唱えるのが保守主義です。福田恆存は「私の保守主義観」と題する論文において、次のように語っています。