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「反日思想」歴史の真実
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政治・社会
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◆論戦であらわれた領土問題における中国の本音

『「反日思想」歴史の真実』
[著]拳骨拓史 [発行]扶桑社


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 二〇一〇年一〇月八日、中国漁船が海上保安庁の巡視船へ激突した問題で、領土問題への関心が高まるなか、私は中国人の会合に講師として招かれ、領土問題について話をする機会に恵まれた。

 会場には日本人はおらず、全員が中国人という状況下で、前半に中国側の主張を、後半に日本側の主張を被せるという方法で、日本側の正当性を訴えた。

 その際、中国人の領土問題に対する「本音」が垣間見られたので、当時の質疑応答の様子をご紹介しよう。

中国人「尖閣諸島は歴史的に中国の領土であることは、尖閣諸島の地名が明代の記録に記載されていることからも明らかだ。先生の主張は間違っている」
筆者「明代の記録に尖閣諸島の地名が出てくるから中国領土であると主張するなら、コロンブスがアメリカ大陸を発見するまで記録には出てこないため、アメリカはインディアンの領土ではなかったと主張するのと同じことだ。大事なことは歴史書に地名が出てくることではなく、実際にどこの国が支配していたのかという点である」
中国人「尖閣諸島は中国が実際にも支配していた」
筆者「それはおかしい。日本は一八九五年に尖閣諸島を領土として以来、中国は尖閣諸島近辺より海底資源が見つかるまで、領有権を主張してこなかった」
中国人「日本の帝国主義によって中国が主張できなくされていたからだ」
筆者「沖縄返還のときも、『人民日報』でも尖閣諸島の名前をあげて、日本の領土であることを明記している。実効支配していたなら、なぜそのときに抗議をしないのか。大東亜戦争が終わって一体、何十年が経過していると思うのか。帝国主義など無関係だ」
中国人「中国は確かに尖閣諸島には興味はなかった。中国の領土は広大だ。尖閣諸島などというのは中国からみればゴマ粒くらいでしかなかった。そんなのはどうでもよかった。しかし資源があったことで、話は変わった。それは事実だ。だから、我々は尖閣の領有権を主張する。それの何がいけない?」(大声を上げて興奮しだす)
筆者「尖閣諸島が日本の領土であることは、国際法的にも明らかだ。二〇〇七年に『ワシントン・タイムズ』は、キーティング米太平洋軍司令官が中国軍事当局者と会談した際、中国側が『太平洋を東西に分割し東側を米国、西側を中国が管理すること』を提案したと報じている。中国が何を主張しようが、それは中国の自由だ。しかし主張には妄想的主張と現実的主張がある。尖閣諸島の領有権が中国にあるというのは、妄想的主張に過ぎない。日本が断固これを拒否するのは当然だ」
中国人「日本は中国との友好を考えていない。本当に中国との友好を考えていれば、日本と資源を仲良く使おうと主張するはずだ」
筆者「たしかに中国はフィリピンなどの領土を吸収した際、共同開発に持ち込むことで相手国に譲歩を迫る手法で近年、その版図を広げている。しかし中国がそのようなことを続ければ続けるほど、アジア近隣諸国は中国から心が離れていく。多くのアジア諸国は中国に恐怖の念を持っている」
中国人「いや、彼らは喜んで中国との共同開発に応じた。日本だけが譲らない。日中友好を考えていない。私は日中友好を大事に思っている。日本の強硬意見をみると、かつての侵略戦争を思い出す」
筆者「いつまでも侵略戦争、侵略戦争というのはいかがなものか。そもそも日本も中国と戦争などしたくなかった。それは『お互いの』不幸というものだ。第一、日本が侵略したと批判をするが、ではなぜ中国はアヘン戦争で簡単に負けてしまったのか。日本を奥地にひきずりこんで戦ったように奥地に引きずり込めば、イギリス艦隊とはいえ勝てなかっただろう。それを少し大砲で撃たれたくらいで降伏し、各国の(あなど)りをかった。これは日本の責任ではなく中国の責任だ。アヘン戦争で中国がマジメに戦っていれば、日本も戦争などしなくてよかった。『戦争責任』は日本だけにあるのではない。中国にもある」
中国人「あなたがどう言おうが、尖閣が中国のものであることには変わりない。国際法など関係ない。尖閣諸島が中国領土であることは、歴史的事実だ。日本はウソをつき、領有権を主張している。日本は口先で日中友好というがそんなのはウソだ。本当に日中友好が大事だと思うなら、なぜ『尖閣は中国の領土です』と認めないのか! 日本政府は小学校のうちから、尖閣諸島は中国の領土だと教えるべきだ。そうすれば、中国国民は『ああ、日本はなんという良い国だ。日本が好きだ』といって、みんな日本にきて、おカネを使う。日本製品を買う。そうすれば日中友好は盤石になる。日本が尖閣にこだわることは、日本のためにならない。尖閣諸島が日本領土だと主張することは、将来戦争になる可能性も帯びている。それを避けるためには、日本が尖閣問題について、正しい主張(中国領土であるということ)を、国民に知らせることが大事だ!」(興奮・怒鳴り)
筆者「それは日本からしても同じことが言える。中国が日中友好を大事だというならば、なぜ『尖閣諸島は日本の領土です』と正しいことを中国国民に教えないのか? それをすれば、日本人は『ああ、中国は何と良い国だ』と、中国のことが好きになる。孔子は『己の欲せざることを、人に施すことなかれ』と説いている。自分がされて嫌なことを、人に押し付けるのは誤りである」
中国人「そもそも日本政府の対応が悪い。なぜ、船長を逮捕したのか! 船長をすぐに釈放するべきだった。逮捕されていたため、船長は親の死に目にあえなかった。日本政府は人道上の配慮をもって彼をすぐに釈放してあげるべきだった」
筆者「それなら中国は犯罪者の親が危篤(きとく)になれば、いつでも誰でもすぐに解放するのか? 人道上の問題を言うならば、フジタの社員をなぜ今まで不当に拘束しているのか? (当時)これこそ人道上の問題ではないか!」
中国人「日本が中国との友好を考えているなら、船長の逮捕などするべきではない。すぐに解放するべきだった。日本政府は愚かだ。私は民主党政権に期待していた。民主党政権になれば、日中友好はより盤石になると! しかし実際は、なんだあの菅直人首相(当時)は! 自民党より悪いじゃないか! 私はね、民主党政権に失望したのですよ!」
筆者「私とあなたは立場は異なれど、“民主党政権が無能である”という考え方だけは、唯一、共有できる点かも知れませんね」(会場笑い)

 私の講演はこのようにして終わったが、ここからわかる中国の領土問題における本音は、以下の点に要約できるだろう。

、尖閣諸島の領有権について、日本の主張がどれだけ正しくても、中国には通用しない。理屈や法律など関係なく「尖閣諸島は中国の領土」だとの主張を続ける。
、中国は尖閣諸島の領有権問題を有利にするため、経済とワンセットにして日本における世論工作を行う。
、中国は領土問題に対して軍事的恫喝を行う。


 新聞やテレビなどのニュースを通じ、については多くの国民が理解しているが、については、多くがあまり理解していない。中国の本質は「中華思想(中国こそが世界の中心であり最も価値があるとする考え方)」なのであり、正論や道理が通じる相手だと考えるのは、考え違いだと言わざるを得ない。

 一九七一年八月、台湾総統府秘書長などを歴任した張群(ちようぐん)(一八八九〜一九九〇)が日本を訪れたとき、
「日本は今日まで中国問題を扱ってきたが成功したことがない。中国というのはそんなものじゃないんだ。〔略〕国連がどうかしたからといって、中国はどうなるものでもない。日本が中国をどうするからといって、それで中国はどうなるものでもない。中国は中国人によってのみ動くんだ」(『ドキュメント日中復交』時事通信社)

 と語っているが、中華思想とはこのようなものである。

 領土問題について、中国に反論すべき日本の立場は拙著『日中韓二〇〇〇年の真実』(扶桑社新書)に記した通りであるが、中国は中国人によって動くという考え方がある限り、日本の主張など彼らは意に介さない。

 しかしだからと言って「日本人は知らなくて良い」「反論しなくて良い」ということにはならない。

 国際社会で彼らが今後も尖閣諸島の領有権を訴えかけていくことは自明である以上、日本も主張の正当性を訴えなくてはならない。そのためには、日本人自身がこれらの問題から目を背けずに立ち向かう勇気が必要なのである。

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