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(2021/11/26 追記)

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幸せの遺伝子−−−「ひらがな言葉」が眠れる力を引き出す!
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生き方・教養
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縄文時代から自然と共生する

『幸せの遺伝子−−−「ひらがな言葉」が眠れる力を引き出す!』
[著]村上和雄 [発行]扶桑社


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 では、どうして日本には世界に類を見ない独自の文化が生まれ育ったのでしょうか。

 文化とはその土地に根ざしたものですから、日本列島の自然が果たした役割は大きい。森が国土の約三分の二を占め、四方を海に囲まれ、暖流と寒流が交わり、四季がある。そういう国土そのものがパワースポットのような、非常に豊かな自然に恵まれたからこそ、日本固有の文化が誕生したと考えられます。

 さらに、日本民族は稲作を始めて以来、みんなが一致協力して農作業を行い、収穫を神様や大自然のおかげと考えて、その恵みに感謝し、自然と共生しながら暮らしてきました。そのなかで、日本人は直感的に、大自然の偉大なはたらきを感得してきたのだと思います。

 以前、日本文化について考察するシンポジウムに参加したとき、一緒に基調講演をされた考古学者で國學院大學名誉教授の小林達雄さんは、そのルーツは縄文時代にあるとおっしゃっていました。共鳴するところが多かったので要点を紹介します。

 いまから一万五千年くらい前のこと、小林さんが「縄文革命」と呼んでいる大事件が起こります。それまでの旧石器時代の人類は、食べ物を求めて動き回る遊動的な生活スタイルが基本でした。これは日本列島だけでなく、世界的にも人類文化の第一段階です。ところが、縄文人は世界に先駆けて、定住的な生活へと大転換する。つまり、「村」をつくって家族や村人たちと共同で暮らすようになったのです。

 縄文人がいち早く定住生活を始めた理由の一つは、日本の自然にあるといいます。四季の適当な変化があり、冬といってもそんなに寒くなく、夏もそれほど暑くはないという気候がよかった。遺跡の数から検証すると、一万五千年前、世界中のどの地域と比べても、日本列島ほど人口密度の高いところはなかったそうです。人口密度が高いと、新しいことを始める活力がおのずと生まれてくるといいます。

 縄文革命によって、村を営み始めた人間は、自然とは分離独立することになりました。しかし、生活を支えたのは村の周りに広がる「(はら)(野原)」でした。そこは、かつて人間が身を置いていた自然の秩序が保たれているところで、村人はそこで食糧や生活に必要な道具をつくる資材を調達します。日々の食べ物を得るために、狩りをしたり魚を()ったり山菜を()んだりするわけです。

 しかし、おいしいからといって手に入るものすべてを食べ尽くしたりはしない。食べられるものは、おいしくなくても食べる。多種多様な資源をできるかぎりまんべんなく活用して、自然といつも共存共生することを基本にしていた。これを小林さんは「縄文施政方針」と呼び、日本に特有にして、きわめて注目すべき縄文文化事情だといいます。

 では、定住生活を始めたころのヨーロッパや中国など大陸側はどうだったのか。

 村の外にあるのは、原ではなくて「野良(のら)」だったといいます。野良仕事の野良であって、原というものを許さない。原があったとしたらそこは遊休地で、開墾(かいこん)すべき対象、征服すべきスペースであると考える。縄文人の姿勢である共存共栄とは対極の敵対関係になるわけです。

 縄文文化は一万年以上続き、その間、大陸には見られない自然との共存共栄を日本人は連綿と続けてきた。そのなかで刷り込まれた日本特有の文化的遺伝子があり、それは日本語に表れている、とする小林さんは、シンポジウムで概略次のように話されました。
「世界に六千五百種類くらい言葉があるといわれていますが、日本語ほどユニークなものはない。その一つが、オノマトペ(擬音語)です。春の小川は『さらさら』流れるんですね。下流にいくと『ざぶざぶ』流れ、上流にいくと『ちょろちょろ』流れる。虫の声にしても松虫だとか鈴虫だとかウマオイ虫だとか、みんな聞き分けています。体ごと自然と共感共鳴しているのが日本の言葉であり、文化そのものであって、現代の日本文化の底流にもずーっとある。諸外国からいろんなものがいっぱい入ってきて、どれだけ影響されても、日本語がなくならなければ日本文化は失われないと思います」

 小林さんは、とりわけオノマトペに日本人の精神性を見いだされたわけですが、()しくも、水音を表す「さらさら」「ざぶざぶ」「ちょろちょろ」も、松虫の鳴き声「ちんちろちんちろちんちろりん」も、鈴虫の「りんりんりんりんりいんりん」も、ウマオイの「ちょんちょんちょんちょんすいっちょん」も、すべて「ひらがな言葉」です。

 
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