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(2021/11/26 追記)

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幸せの遺伝子−−−「ひらがな言葉」が眠れる力を引き出す!
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生き方・教養
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遺伝子のスイッチオンとオフ

『幸せの遺伝子−−−「ひらがな言葉」が眠れる力を引き出す!』
[著]村上和雄 [発行]扶桑社


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 さて、この章では、私が長年取り組んできた生命科学の研究から、遺伝子を活性化させて、より幸せに生きる方法を提案したいと思います。

 遺伝子というと、親から受け継がれた宿命的なもの、というイメージが強いでしょう。自分の目が小さいのも、脚が短いのも、「これはもう親ゆずりだからしょうがない」と思ったり、頭があまりよくないのも、「遺伝なんだからどうしようもない」とあきらめたりする。確かに遺伝とは、血のつながりによって伝えられる特質のことであり、それを伝える媒体となっているのは遺伝子に間違いありません。しかし、それは遺伝子のもつ役割の一部でしかないのです。

 遺伝子は一般に考えられている以上に、もっと身近なところで重要な役割を果たしています。たとえば、母親のお(なか)のなかで、たった一個の受精卵が十月十日の間に細胞分裂をくり返して発育し、生まれたあと大人まで自然に成長していきますが、これはすべて遺伝子のなせるわざです。

 そして、私たちがいま生きていられるのは、一分、一秒も休むことなく、整然とはたらき続けている遺伝子のおかげです。遺伝子のはたらきなしには、心臓は動かないし、血液も循環しない。物を見ることも、聴くこともできない。料理の味もわからないし、考えることもできないし、恋をすることもできません。脳や神経のはたらきから免疫機能まで、心身の機能はすべて根っこのところで遺伝子と関係しているのです。

 多くの人が、思考も行動も脳が支配していると考えています。それも間違いではありません。脳がすべて死ねば、私たちの生命活動はストップしてしまいます。しかし、脳で実際にはたらいているのは、細胞や細胞間のネットワークであり、その細胞は、遺伝子を使ってはたらいています。

 先にふれたように、人間は約六十兆の細胞から成り立っています。その一つひとつの細胞のなかに、DNA(デオキシリボ核酸)という物質があるのですが、この物質こそが遺伝子の本体です。ここであらためて、その構造を説明しておきましょう。

 ヒトの場合、細胞の真ん中に核という部分があり、その核のなかに、二本を一組とする染色体が二十三対、計四十六本入っています。この二十三組の染色体のうち、一番から二十二番までは男女とも共通ですが、二十三番目の染色体だけが、男性はX染色体とY染色体の一本ずつ、女性は二本のX染色体からなっています。そのわずかな違いが、性別を決めるのです。

 各染色体は、細長い糸をくしゃっと丸めたような形をしています。それをほどくと、球状のタンパク質に二本の鎖状の糸がからみついています。その糸部分を拡大してみると、それぞれが鎖状をした二本の糸がらせん状にからまり、はしごのようになっているのがわかります。この二重らせん部分がDNAです。つまり染色体とはDNAとタンパク質の集合体なのです。

 そして、はしご段にあたるところに、A、T、C、Gという四つの化学文字の組み合わせで表される情報が書かれています。人間の各染色体中にあるDNA上の全情報を総称してヒトゲノムと呼ぶわけですが、前述したように、その暗号文字の総数は約三十二億個です。DNAの大きさは、十万倍くらいまで拡大してようやく肉眼で見えるほど極小なのに、それを伸ばすと一・八メートルもの長さになります。これが約六十兆の細胞一つひとつに入っているのです。さらに驚くのは、体のどの部分の細胞を取ってみても、みな同じ遺伝情報がきちんと納められていることです。

 そうすると、ある疑問がわいてきます。どの細胞も生命活動に欠かせない全情報をもっているのなら、どうして、肝臓の細胞は肝臓の役割しかせず、(つめ)の細胞は爪の役割しかしないのか。心臓の細胞が、「こんな疲れる役目は、もう勘弁してほしい。自分は髪の毛になる」とか、皮膚の細胞が、「これ以上、外気にさらされるのは嫌だ。明日から肝臓になりたい」とかいいだすことはないのか。

 これは情報能力としては可能なことです。しかし、現実には絶対に起きません。「あいつは心臓に毛が生えている」などということがありますが、実際に心臓に毛が生えることはありません。

 では、爪の細胞が爪にしかならないのはなぜなのか。それは、全遺伝情報のうち、爪の役割を果たす情報だけがはたらいて、ほかの機能が封印されているからです。肝臓の細胞は、肝臓の役割以外のはたらきをする遺伝子が封印されている、というわけです。

 つまり、細胞のなかにある遺伝子は、目覚めて活動している部分と、眠っている部分とがあるのです。ただし、眠っている部分が永久に眠っているかというと、そうともかぎりません。また、目覚めている遺伝子が死ぬまではたらき詰めかというと、そうでもない。遺伝子には、電気製品の電源のスイッチのように、つけたり消したりできる機能があるのです。これを遺伝子の「オン/オフ機能」とよんでいます。

 
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