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プレッシャーを味方にする心の持ち方
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生き方・教養
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2章 プレッシャーへの対処法

『プレッシャーを味方にする心の持ち方』
[著]清水宏保 [発行]扶桑社


読了目安時間:23分
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■プレッシャーはサプリメント

 

 私がスピードスケートの選手として世界中を転戦していたときのことです。当時はそれこそ、年間に何十というレースを戦っていました。レースのスケジュールが決まると、体は一気に緊張状態に入ります。みなさんはそういう生活が想像できるでしょうか。

 私も一人の人間なので、全部のレースを同じテンションで戦うことなんてできませんでした。「今日は世界記録を狙ってやろう」と思うレースもあれば、「今日はもういいや」と思うレースもありました。驚かれるかもしれませんが、初めから負けることを前提として戦う“捨て試合”というのもあるのです。

 緊張して迎えたレースと、捨てレースとの差はどこに現れるかというと、体の“ハリ”、筋肉のハリがまったく違うのです。

 人間は、プレッシャーをかければかけるほど自律神経が高まってきて、筋肉もパンッと張ってきます。適度なプレッシャーがあれば、体全体によい影響を及ぼしてきます。人間の筋肉というものは、柔らかすぎても硬すぎてもいけない。ゴムのような、(まり)のような、適度な弾力性のある状態がベストなのです。

 プレッシャーをかけることによって顔は引き締まっていくし、体もどんどん引き締まっていく。緊張感のない生活を送っていると、体つきも変わってしまう。ハリがなくてダランとした体になってしまうのです。

 ただし、緊張しすぎても駄目です。緊張しすぎると心と体のバランスが崩れてしまい、気持ちだけが先行し、空回りしてしまいます。

 ですから、満足できるレースにするためには、自律神経のコントロールを上手にすることが大切になります。

 すると、それにはどうすればよいのか? という疑問が浮かびます。答えは、“リラックス・ポイント”をつくることです。このポイントは人によって異なりますから、日々の生活の中で、「どうすればリラックスできるのだろう?」とか、「ああ、今、すごく体が(ゆる)んでいるな」ということを考え、体感して、そのような状態になったときのことを覚えておくことが大切です。

 緊張感・プレッシャーがかかっているときは、交感神経が活発に働いています。反対にリラックス(弛緩(しかん))しているときは、副交感神経が働いている。緊張と弛緩を()り返すことによって、いわゆる“ゾーン”と呼ばれている、潜在的な能力が発揮できる領域に入ることができます。このゾーンに入ると、神経は高ぶっているのだけれども、肉体はリラックスしているという状態に。その状態のときに、良いレースができるのです。

 これは決してアスリート特有のものではない。ビジネスシーンでも同じ。つまり、みなさんも“ゾーン”に入ることはできるのです。

 

 だから私は日ごろから、「プレッシャーはサプリメントだ」と言っています。

 私がこのようなことを考えるようになったきっかけをご理解いただくために、私の競技生活を振り返ってみましょう。

 


 
■初めてのオリンピックで惨敗

 

 私が経験した最初のオリンピックは、1994年のリレハンメル大会でした。

 スピードスケートは個人種目ですから、他の団体競技に比べればチームの団結力は決して高いとはいえません。でも国を代表していくオリンピックという舞台では、団結力は欠かせないということを、この大会で痛感しました。

 リレハンメル大会のときのスピードスケートの代表団は、今思えばチームがバラバラの状態でした。その原因の一つが、出場選手の決定時期でした。

 私が出場する500メートルの日本の代表枠は4人でしたが、ノルウェーに乗り込んだ選手は5人。そして、レースに出場する4人が決まったのが、本番のわずか3日前だったのです。

 なぜ4人枠なのに5人を連れていったかというと、その当時は5人の実力が拮抗していて、誰が出場してもメダルが獲れるという状態だったからです。日本スケート連盟としては、誰でもいいから、そのときに絶好調の4人を出そうと考えていたのでしょう。

 その5人の中には日本大学の先輩が2人いました。スケート部は体育会系だから上下関係は非常に厳しい。その先輩がいるのですから、当然、緊張します。しかも私は5人の中で最年少ですから、余計に緊張しました。
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