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(2021/11/26 追記)

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萬月な日々
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ルポ・エッセイ
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縁日

『萬月な日々』
[著]花村萬月 [発行]_双葉社


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 一昨日(二月二日)の夕刻、京都は吉田山の吉田神社にでかけた。押せ押せになってしまっている執筆情況を考えると、外出などしている場合ではないのだが、災いを招く鬼を節分前夜に追い払う神事「(つい)()(しき)」を見たかったのだ。


 そもそもは、いまやなんのポスターだったのかも判然としないのだが、鬼を追い払う(ほう)(そう)()の黄金四つ目の仮面を路上で見たのだ。なぜか左右二列の細い目が俺の脳裏にこびりついてしまった。その方相氏の面だが、どうも吉田神社の追儺式に使われるものらしいという直感が働いた。ま、山勘です。なんの裏付けもない。でも思いこんでしまったので、その勢いで外出した。


 京都は見事に晴れ渡って夕空がたいそう美しかった。今出川から吉田神社に至る裏道が封鎖されていて、そこに的屋のトラックが数センチの隙間もなくビシッと列を成して彼方まで駐められていた。これは相当の数の夜店がでるぞ──と、なにも買いもしないくせに幼いころのようなワクワクした気分と期待が湧いてきた。


 ところが神社に近づくにつれて尋常でない数の人が群がっているではないか。これはわかりきったことなのに、いざ人波を目の当たりにすると、じつに億劫な気分になってきてしまい、あれほど勢い込んで出陣したのにもかかわらず、やや歩みがルーズになってきて、(けい)(だい)にあがろうとしている群衆を見守りつつ、自分もこの群衆のうちの一人であるとかなんとかわけのわからん思いが掠めたとたんに、すべてがどうでもよくなってきた。

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