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食材を使い切るのがおもしろくなる本
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食材の黄金の組み合わせ 旨味トライアングルとは?

『食材を使い切るのがおもしろくなる本』
[著]青木敦子 [発行]扶桑社


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 このところ増えてきたのが倉庫型スーパー。中に入ると普通のスーパーのように商品が単品で並んでいるのではなく、段ボールの箱に業務用の食材をドーンと積んでケース単位、キロ単位で売っています。迫力のある陳列で、かつスーパーのパック単位に換算してみると、あまりの安さにびっくりします。しかし同時に「野菜2キロから」「鶏肉3キロまとめて」などのただし書きを読むと、とても食べきれないとひるんでしまったという経験は皆さんお持ちなのではないでしょうか。

 目の前に安い食材があるのに、買えない。これは非常にもったいないことです。しかし、買いたい食材が一カ月以上保存することができるとわかったら、「野菜2キロ」「鶏肉3キロ」も“買える商品”として浮かび上がり、買い物の仕方が大きく変わってくるのではないでしょうか。

 本書の「食材の正しい保存法」をお読みいただき、実践すれば、食材を一カ月以上、加工の仕方によってはそれ以上保存することが可能なのです。ぜひ、次章をご覧になってください。今までの買い物の仕方が大きく変わってくるヒントが網羅されています。

 しかし、「鶏肉3キロ」も買ったら、毎日鶏肉ばっかりの料理にあきてしまうのでは? という疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

 もちろん料理のレパートリーを増やすことも大事ですが、この章では、料理を“よりおいしくする”コツをお教えしたいと思います。親子丼や肉野菜炒めなど家庭での定番料理が、本書をお読みになった後、きっと数倍おいしく感じるようになると思います。そして、よりおいしく食べるコツ(旨味トライアングル)を知れば、同じ食材を使ったレパートリーが飛躍的に広がっていくはずです。

 
「旨味」を知れば料理がレベルアップする!

 料理を食べたとき、なぜ人は「おいしい」と感じるのでしょうか? 食材の新鮮さ? 香り? 食感? いろいろな要素がありますが、「おいしさ」を感じるいちばんの要素は食材の中に組み込まれている「旨味」にあります。この「旨味」によって人は「おいしさ」を感じることができます。

 では「旨味」とは何なのでしょうか。じつは、食品の中には「旨味成分」というものがあり、この「旨味成分」が深いコクとまろやかな味わいを醸し出してくれているのです。

 現在、食材の中に確認されている「旨味成分」は30種類以上あるといわれています。その中でも代表的なものが、皆さんもよくご存じのグルタミン酸。日本人の池田菊苗博士が昆布の分析から世界で最初に発見した「旨味成分」でもあります。池田博士が昆布から発見したことでもわかるように、ダシに使われる昆布の「旨味成分」のじつに60%がグルタミン酸です。昆布ダシを加えたお料理がおいしいと感じるのは、このグルタミン酸によるものです。

 人は、グルタミン酸が含まれている料理を食べると、舌の表面にある細胞の「グルタミン酸受容体」がグルタミン酸(旨味成分)を感じ取り、脳に信号を伝えます。脳は「旨味」を感じると、「旨味成分」が体内に入ってきたことを認識して、「旨味成分」を構成するタンパク質を消化するために、唾液や胃液、膵液の分泌を始めます。つまり「旨味成分」はお料理をおいしくするだけではなく、消化もよくなるので、食欲が増して食が進むことにもなるのです。

 グルタミン酸以外の「旨味成分」でよく知られているのが、イノシン酸とグアニル酸です。このグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸の3つは「三大旨味成分」と呼ばれるほど大事な「旨味成分」ですので、ぜひ覚えておいてください。

 グルタミン酸が多く含まれているものは、昆布をはじめ、煎茶、トマト、ジャガイモなどの野菜全般に含まれています。

 逆に肉や魚介類に多く含まれているのがイノシン酸です。煮干しや鰹節の「旨味」はおもにイノシン酸によるものです。そして三大旨味成分の最後、グアニル酸を含む食材の代表格はキノコ類です。

 ここからが重要なポイントです。これらの「旨味成分」は単独で摂取するより、組み合わせで摂取したほうが、相乗効果により「旨味」が十数倍にも増すことがわかっています。よい例が昆布と鰹節を使って取った日本の伝統的なダシ。特に一番ダシのおいしさは皆さんご存じだと思います。昆布だけで取ったダシより、グルタミン酸を含む昆布とイノシン酸を含む鰹ダシを組み合わせたダシのほうが、「旨味」の相乗効果により何倍もおいしく感じられるのです。
「旨味」の相乗効果を利用したレシピは、和食だけではありません。洋食や中華はもちろん、世界各地の郷土料理でもさまざまな形でいまも使われています。まさに万国共通の“おいしさの法則”といっていいでしょう。

 じつは、赤ちゃんが生まれて初めて口にする母乳にも、グルタミン酸とイノシン酸が豊富に含まれています。人は生まれてすぐ「旨味」に出会っていることになるのです。

 私はお料理を作るとき、旨味を最大限まで引き出すために、ご紹介したグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸のすべてを取り込むことができるような食材選びを心がけています。私はこれを「旨味トライアングル」と呼んでいます。この3つの「旨味成分」を意識して使うことによって、飛躍的に高まった味わい深いお料理を作ることができるのです。

 
「旨味トライアングル」でおいしさを倍増させる!

 旨味トライアングルを完成させるためには、ひとつ問題があります。グルタミン酸やイノシン酸を含んでいる食材は数多くあります。しかし、グアニル酸を含む食材としてキノコ類がありますが、それ以外とても少なく限られていることです。

 和・洋・中のどれでも「旨味トライアングル」を完成させるためには、キノコ類とは別にグアニル酸を多く含む食材が必要です。

 そこで私は、キノコ類以外に、海苔とドライトマトを使うことにしています。海苔は単独でグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸すべてを含む希有な食材であること。そして、トマトは干すことによってグアニル酸ができる特性を持っているからです。

 この「旨味トライアングル」を完成させるためには欠かせないキノコ類、海苔、ドライトマトを、私は「黄金の食材」と呼んでいます。和食や中華と相性のいいキノコ類、単体ですでに「旨味トライアングル」が完成していて和食によく合う海苔、そして洋食に使いやすいドライトマト。この3つをうまく使えば、毎日のお料理が格段においしくなって、レパートリーも増えて、飽きずに食べられるようになるはずです。ぜひお試しください。「旨味トライアングル」を作ると、これほど料理がおいしくなるのかと驚かれると思います。

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