初めての映画の撮影が終わり編集に入っていた頃、私は高田馬場にあるコアマガジンの編集部に入り浸っていた。先にも触れたがこの会社だけは、24時間いつでもドアは半開きで自由に出入りができ、編集部のフロアには煙草の煙が立ちこめていた。雑然とした編集部には、深夜でも誰かしら編集者がたむろしていて、妙な熱気に満ちていた。
そんなフロアの一角にあった『実話マッドマックス』の編集部は、当時の実話誌ブームの中で久田将義が編集長を務めるミリオン出版『実話ナックルズ』と部数を争い、しのぎを削っていた。そのため号を追うごとに掲載される記事は過激になり、反社会勢力のトップクラスの人々が、当たり前のようにインタビューに応じていた。