『美女たちの日本史』
[著]永井路子
[発行]ゴマブックス
ところで、二人が美女だったかというと、全くそういう話はありません。清少納言のことは、さっきお話した藤原行成、名官房長官がこういうことを言っています。
「私は、目が縦についていても、鼻が横についていても、声のきれいな人が好きなのです」
これは、清少納言に対するお世辞なんです。それで清少納言は、すっかりいい気持ちになってしまう。
彼女、まさか目が縦についてるほどではなかったかもしれないけれども、これは褒め言葉でしょうかねえ。そうとも思えないんですけど。清少納言のほうが行成より年上です。けれども、藤原行成は清少納言のところに来て、親しく話しあう。それはい中宮定子に何かお話したいときには窓口が必要なので、そのために清少納言に近づいているのです。