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日本夫婦げんか考
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うかれ女 離婚始末記――和泉式部と橘道貞

『日本夫婦げんか考』
[著]永井路子 [発行]ゴマブックス


読了目安時間:13分
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夫に棄てられて?……


あらざらむこのよの外のおもひでに今(ひと)(たび)のあふこともがな



 百人一首でおなじみのこの歌の作者、和泉式部は、王朝の女流歌人中最も歌のうまい才女であったが。同時に、恋愛道のチャンピオンでもあった。


 彼女の相手になった男性は、おそらく十指にあまるに違いないし、それも皇族とか貴族、金持等々、ソウソウたるメンバーである。中でも有名なのは、(れい)(ぜい)天皇の皇子、(ため)(たか)(あつ)(みち)両親王との恋の物語であろう。


 この二人の親王は当時のプレイボーイとして有名な存在だった。しかも和泉式部は、為尊親王と激しい恋におちながら、親王が死んでしまうと、一年も経たないうちに弟の敦道親王と恋をはじめる。このいきさつを書いたのが例の『和泉式部日記』である。


 敦道親王のまわりの眼がうるさくなって、式部の所へ通って来られなくなると、親王がよこした迎えの車に乗って、出かけていってひそかにデイトを重ねたこともあった。今考えれば何のこともないようだが、当時女が外で男に会うなどということは、常識では考えられないアバンチュールだった。今ならさしずめ、女の子が男の子の家にこっそり近づき、家人に知れないように非常口からしのびこんで、そのベッドの中にもぐりこむ、とでもいうところだろうか。


 またあるときは、知人の(くるま)宿(やどり)(車庫)に車を入れたまま、その中でしのびあったこともある。相手が親王であるために他人の眼がうるさく、二人はいろいろな知恵を働かせて逢瀬を作りだしたのだが、プレイボーイだった親王は、この目先の変ったアバンチュールを、けっこう楽しんでいたのかもしれない。


 が、とにかく親王をここまで踏みきらせたのは、和泉式部の魅力である。


 ――この女は手放せない。


 と思ったからこそ、彼女に執心したのであろう。敦道にかぎらず、彼女のまわりには、一流の貴族たちがかなり出入りしていたらしく、彼らとやりとりした歌も家集の中にたくさん残っている。その限りでは、彼女の男運はまったく御隆盛のきわみなのである。


 が、それなのに――。


 彼女の夫運はきわめてよくない。前夫(たちばな)(みち)(さだ)とは離婚しているし、その後結婚した藤原(やす)(まさ)ともあまりうまくはいかなかった。

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