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名字の世界 あなたのルーツがわかる
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雑学
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第3章 都道府県別名字の分布

『名字の世界 あなたのルーツがわかる』
[著]インデックス編集部 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:1時間7分
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「せまい日本そんなに急いでどこへ行く」という標語もあったが、都道府県別の名字分布を見ると各地に結構個性があり、思ったよりも広いらしい。そんな「名字のお国柄」をご紹介。

北海道
家柄や格式とは無縁の雄大な大地

★全国的に見られる名字が集合。


 現在北海道に住む人の多くは、本州から渡ってきた人々の子孫である。

 大規模な移住は明治以降のことで、戊辰(ぼしん)戦争で賊軍となった東北諸藩の士族、後年には庶民の移住が行われた。なお、それ以前の移住者も少ないながらいた。主に函館や松前に見られ、松前藩主の松前家の移住は室町中期だったといわれている。

 こうしたことから、北海道で多いのは「佐藤」「高橋」「佐々木」など全国的にも多い名字だ。中でも東北地方でよく見られる名字が目立つのは、地理的要因もあろう。

 北海道独特の名字というのは少ないが、それでも「(もげき)」「陰能(いんの)」「鉢呂(はちろ)」などがある。「鉢呂」は富山県発祥の名字だが、現在では北海道の方が多く見られるようだ。

 北海道といえば、北方先住民族であるアイヌ民族が浮かぶが、彼らの世界には名字自体がなかったようだ。しかし明治政府の政策や大和民族との結婚により、名字を持つようになった。

▼北海道 名字ランキング
1位 佐藤(さとう)
2位 高橋(たかはし)
3位 佐々木(ささき)
4位 鈴木(すずき)
5位 伊藤(いとう)

▼北海道ならではの珍しい名字
十【もげき】
「木」という漢字の両側のはらいがもげていることから「もげき」と読む。縦棒をはねる「(もげき)」が正しい。
■その他にも…
行町(あるきまち)印銀(いんぎん)陰能(いんの)少数(しょうすう)息才(そくさい)鉢呂(はちろ)就鳥(ひよどり)…など


青森県
太宰の故郷はりんごとじょっぱり

★独自色が強く珍名も多い。


 ほかの都道府県ではランキング圏外の「工藤」が1位を飾るのが青森県。県全体に見られるこの名字の発端は鎌倉時代にさかのぼる。執権(しっけん)北条氏の家臣・工藤氏が陸奥(むつ)国に任じられ、広まったのだ。

 この「工藤」は例外として、青森県の名字分布は大きく津軽地域と南部地域に分かれる。前者は青森色の濃い「成田」や「対馬(つしま)」、後者は岩手県北部の分布に似た「佐々木」や「木村」が多い。
「成田」は、津軽地域の土地に由来している。語源は「平田(ならた)」で、これには「平坦な土地」という意味がある。「(なり)」という字も「ならす」からきており、ここから過去にこの地に移住して開拓・開墾した人々が名乗ったものと考えられている。
「対馬」は長崎県の対馬を思い浮かべがちだが、実は愛知県の津島のこと。愛知に住んでいた津島一族が移住したときに、表記を変えたという。一方で「津島」を名乗る家もあり、小説家・太宰(だざい)治の実家である津島家が有名だ。

▼青森県 名字ランキング
1位 工藤(くどう)
2位 佐藤(さとう)
3位 佐々木(ささき)
4位 木村(きむら)
5位 成田(なりた)

▼青森県ならではの珍しい名字
小比類巻【こひるいまき】
三沢市に多い。アイヌ語の「コッウンイ(窪地の場所)」と日本語の「(まき)」を混ぜてできた名字と見られる。
■その他にも…
一戸(いちのへ)御厩敷(おんまやしき)小山内(おさない)茶立場(ちゃたてば)苫米地(とまべち)中野渡(なかのわたり)奈良岡(ならおか)…など


岩手県
ネットよりも読書が好きな銀河鉄道は堅実運行

★千葉や葛西など関東の地名が目立つ。


 岩手県の特徴は、ランキング4位の「千葉」。他県ではランキング外のこの名字は、もともと千葉県にルーツがある。桓武(かんむ)平氏の流れをくむ千葉氏がそれで、この一族は他の桓武平氏流の氏族らとともに源頼朝(みなもとのよりとも)に従っていた。

 頼朝は奥州(おうしゅう)藤原氏を滅ぼした後、新しい支配者としてこの家臣団を送っている。このとき岩手県に居住したのが、千葉氏だったのである。ちなみに、千葉氏の本家は変わらずに千葉にいたが、こちらは衰退してしまった。
葛西(かさい)」も多い。武蔵(むさし)国に起こった一族で、千葉氏と同様に岩手県へ移住したものである。こちらは室町時代に本家も東北へ移ったといい、その子孫は「岩淵」「江刺(えざし)」「黒沢」「寺崎」などの名字に分かれている。

 このほか、特徴的なのは「館(舘)」のつく名字が多いこと。「古館(ふるたち)(舘)」「下館(しもだて)(舘)」などがあるが、これは丘の上につくられた(とりで)をこの地方では「舘(舘)」と読んでいたことに由来する。

▼岩手県 名字ランキング
1位 佐藤(さとう)
2位 佐々木(ささき)
3位 高橋(たかはし)
4位 千葉(ちば)
5位 菊池(きくち)

▼岩手県ならではの珍しい名字
金田一【きんだいち】
二戸(にのへ)市金田一が由来。ただし地名は「きんたいち」と読む。言語学者の金田一京助氏は岩手県出身。また、横溝正史(よこみぞせいし)氏の小説に登場する金田一耕助も東北出身だ。
■その他にも…
安栖(あすまい)姉帯(あねたい)漆真下(うるしまっか)(えんしゅう)帷子(かたびら)敬礼(けいれい)五枚橋(ごまいばし)銭袋(せんぶくろ)七ッ役(ななつやく)米内(よない)…など


宮城県
東北らしからぬマイペースさと開放的雰囲気

★東北の名字分布の基本となる。


 宮城県の名字は一見、東北全体の集約のようになっている。しかしこれは逆で、ここを本拠としていた伊達(だて)家の勢力が東北全域に広がったことで、宮城の名字分布が東北地方の典型となったと考えられている。

 ちなみに、伊達家はもともと関東の武士で、藤原家の流れをくむとされている。源頼朝の奥州合戦に従軍し、そのときの戦功から伊達郡を与えられ「伊達」を名乗った。

 ランキング5位までだと独自色が見られないものの、6位以下を見ると「菅原」「遠藤」「小野寺」「今野」「早坂」「大友」など、宮城県ならではの名字が顔を出すようになる。ほかにも「大槻」は仙台藩士がルーツ、「志賀」は代々藩医を務めた家というように、さまざまな由来が見られる。

 また、東北地方には荘園(貴族などが私有する農地)が多かったことから、荘園を管理する「庄司」という職業を名字とした例も多い。ただし、宮城県では「庄子」と書く。

▼宮城県 名字ランキング
1位 佐藤(さとう)
2位 高橋(たかはし)
3位 鈴木(すずき)
4位 佐々木(ささき)
5位 阿部(あべ)

▼宮城県ならではの珍しい名字
庄子【しょうじ】
名字自体は珍しくないが、この漢字を当てるのは宮城県独特で、他ではあまり見られない。ちなみに全国的には庄司が主流で、秋田県では東海林、関東地方では荘司が多い。
■その他にも…
赤間(あかま)明上山(あけがみやま)丹野(たんの)中鉢(ちゅうばち)(ふくろ)百足(むかで)(もち)四ッ目(よつめ)若生(わこう)…など


秋田県
オシャレもお酒も大・大好き!の美形王国
★佐藤の占める割合は東北一。


 東北地方は「佐藤」が多く、青森県以外で1位という結果になっている。しかし同じ1位でも、この秋田県では意味合いが異なる。

 というのも、「佐藤」が人口の8%にもなるのだ。普通は、1位といっても人口の1%か2%といったところ。それに比べれば、秋田県の「佐藤」の多さは突出しているといえよう。しかも南下するほど増えていて、由利本荘市(ゆりほんじょうし)では「佐藤」が住民の約3割にのぼるという。

 秋田県ではこのように、特定の地域に同じ名字が集中していることが多い。たとえば2位の「高橋」は雄勝(おがち)郡で人口の2割、とくに東成瀬村では3位の「佐々木」とあわせて、人口の半分以上を占めているという。

 また「越後谷(えちごや)」「加賀谷(かがや)」「能登谷(のとや)」といった「谷」がつく名字が多いのも、秋田県の特徴。これは江戸時代の庄屋「越後屋」「加賀屋」が、名字をつける際に屋号の「屋」を「谷」に変えたことによると考えられている。

▼秋田県 名字ランキング
1位 佐藤(さとう)
2位 高橋(たかはし)
3位 佐々木(ささき)
4位 伊藤(いとう)
5位 鈴木(すずき)

▼秋田県ならではの珍しい名字
御法川【みのりかわ】
タレントのみのもんた氏の本名として知っている人も多いだろう。秋田が発祥だが、現在は北海道や関東地方に多いという。
■その他にも…
(あぶみ)利部(かがぶ)沢田石(さわだいし)(ともえ)及位(のぞき)尾留川(びるがわ)歩仁内(ぶにうち)谷々(やや)…など


山形県
「おしん」の粘り強さは今でも健在

★東海林の発祥地で読みは“とうかいりん”。


 秋田県ほどではないが、「佐藤」が多い。秋田県との境である真室川町(まむろがわまち)では、「佐藤」と「高橋」で人口の3割を占めるという。

 山形県で有名な名字としては、「本間」がある。日本一の大地主といわれた、江戸時代からの名家である酒田市の本間家がもとだ。本間家は、鎌倉時代から戦国時代にかけて佐渡(さど)国を支配した本間氏の支流とされている。
「本間」という名字自体は、相模(さがみ)国に由来する。戦国時代に越後(えちご)国や佐渡国に広がり、酒田に移住したようだ。

 山形県発祥の名字に「東海林」がある。これは「しょうじ」と読まれるが、もともとは「とうかいりん」だった。秋田県に移住した一族が荘園を管理する庄司になったことから、この読みが生まれたと考えられている。それゆえ、現在でも県内では「しょうじ」より「とうかいりん」と読む方が多い。

 このほか、山形県独特の名字に「冨樫(とがし)」「大場」「梅津」などがある。

▼山形県 名字ランキング
1位 佐藤(さとう)
2位 高橋(たかはし)
3位 鈴木(すずき)
4位 斎藤(さいとう)
5位 伊藤(いとう)

▼山形県ならではの珍しい名字
情野【せいの】
米沢市に見られる。上杉謙信に従って移り住んだ清野氏が、読み方を「せいの」、漢字を「情野」に変化したもの。
■その他にも…
悪七(あくしち)五十公野(いじみの)衣袋(いぶくろ)歌丸(うたまる)海和(かいわ)丸藤(がんどう)無着(むちゃく)…など


福島県
関東との間に息づく典型的東北気質の人情の地

★分布は3つの地域に分かれる。


 やはり東北地方らしいランキングだが、浜通り(太平洋沿岸地域)、中通り(奥羽(おうう)山脈と阿武隈(あぶくま)高地に挟まれた地域)、会津(あいづ)(会津盆地を中心とした地域)で名字の分布が異なる。これは福島県の面積の広さゆえだろう。

 浜通では、「小野」「草野」といった名字が多い。中通りでは「円谷(つぶらや)」が見られる。郡山市には
「熊耳」という名字があるが、これは「くまみみ」「くまじ」「くまがみ」「まがみ」などさまざまな読み方がある。また会津では「星」がよく見られ、多くの町村でランキング1位に輝いている。

 なお、県全体では9位に「菅野」が出てくるが、福島県では「かんの」が一般的。しかし、安達郡に限っては「すがの」と読む家が多い。

 さて、ここで東北地方に「佐藤」が多い理由だが、平泉の藤原基衡(ふじわらのもとひら)の臣下の佐藤氏にルーツが求められる。この一族は下野(しもつけ)国から移り繁栄し、その後裔が東北各地に広まったため、東北地方に「佐藤」が増えたという。

▼福島県 名字ランキング
1位 佐藤(さとう)
2位 鈴木(すずき)
3位 渡辺(わたなべ)
4位 斎藤(さいとう)
5位 遠藤(えんとう)

▼福島県ならではの珍しい名字
円谷【つぶらや】
須賀川市に多く、地名に由来する。東京五輪の円谷幸吉(つぶらやこうきち)選手や円谷プロの円谷英二(つぶらやえいじ)氏も須賀川市出身。この2人のおかげで、一定年齢以上の人は必ずといっていいほど読める名字だ。
■その他にも…
猪狩(いがり)江井(えねい)慶徳(けいとく)三瓶(さんぺい)四家(しけ)二瓶(にへい)(ほし)過足(よぎあし)…など


茨城県
一本筋の通った漫遊空間は熱しやすく冷めやすい

★2つの氏族から様々な名字が生まれた。


 ランキング5位までは典型的な関東型だが、それ以下は茨城色にあふれている。「小松崎」「倉持」「飛田」「寺門(てらかど)」「助川(すけがわ)」「軍司(ぐんじ)」「海老原」などがそれで、ほかに「根本」「石川」「関」もランキング20位以内に入っている。
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