『「未熟な夫」に、もうガマンしない!』
[著]山崎雅保
[発行]二見書房
「やっぱり少しも分かってくれない」
D子さんは、散々我慢し工夫も重ねたあげく、夫を見限って別居しました。
D夫さんにとっては寝耳に水、晴天の霹靂そのものでした。ある日、いつものように会社から帰宅してみたら、妻と子どもの姿がない。二人の荷物もあらかた消えている。裏切られた、傷つけられた、俺の何がいけなかったというんだ。彼は憎しみと怒りの塊になりました。
D子さんにしてみれば、長く悩み苦しみ、思いを夫に訴えてはつっぱねられ、もうどうにも耐えがたくなってから準備を重ねた末のことでした。ある程度まとまったお金も確保し、アパートも借り、一人娘の転校の手配もし、とうとう別居せざるを得なくなるまでの彼女の側の事情もていねいな置き手紙にしたためました。
けれど、D子さんの事情がどうであれD夫さんは怒り、混乱するしかありません。
突然の別居以降、彼はD子さんの実家を通じて、怒りと憎しみのツブテをいくつも投げつけてきました。彼が投げつけてくるツブテに痛みを感じながら、D子さんは深いため息をくり返しました。