『「未熟な夫」に、もうガマンしない!』
[著]山崎雅保
[発行]二見書房
妻が名前をとり戻すとき
私は今、H子さんの顔を思い出しています。当時三〇代、結婚一〇年、子ども二人。ある日のカウンセリングで、彼女はこんなことを口にしました。
「私がカウンセリングを受けるようになって一番うれしいのは、名前で呼んでもらえることです」
同じ意味の言葉は、何人もの女性から聞きました。けれどH子さんのように素直に、あるがままの感情をポロリと表現してくれた方は珍しいかもしれません。
この場合の「名前」は、○子や△江や□美などのファーストネームのことです。とくに意図があってそうしているわけではないのですが、私のカウンセリングルームでは、クライアントに対して例外なくファーストネームで呼びかけます。