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プロデュース入門―オリジナリティが壁を破る
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あとがき

『プロデュース入門―オリジナリティが壁を破る』
[著]平野暁臣 [発行]イースト・プレス


読了目安時間:3分
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 「プロデュース」という得体のしれない概念とつきあいはじめて二十有余年が過ぎた。現場を走り回るうちに少しは経験を積み、いくつかの仕事をこなしてもきたのだけれど、依然としてよくわからないままだ。誰も教えてはくれなかったし、目の覚めるような「プロデュース論」や「プロデュース学」があるという話も寡聞にして聞かない。だから、「プロデューサーって、なにをする人なんですか?」と無邪気に訊かれるといまでも困る。


 ただひとつ言えるのは、土俵の上で勝ちたければ、自分なりの「戦い方」を日々研究し、得意技を磨く以外にないということだ。合理性のない根性論や瑣末なノウハウをいくら積み上げたところで戦いには勝てない。戦争であれ相撲であれ、モノづくりであれコトづくりであれ、あらゆる戦いに共通する真理だと思う。


 誰にも向く普遍的な戦い方や必ず勝てる絶対的な戦い方がない以上、「戦いの作法」は自らで開発するしかないのだが、開発方法を教えてくれる教科書はないし、開発手順をガイドしてくれるマニュアルもない。稽古を重ね、手探りで見つけていくほかはないのだ。


 事情はもちろんぼくも同じで、自分なりの戦い方を身につけようと悪戦苦闘している。まだまだわからないことばかりだが、若い頃に比べれば、自分に向いたプロデュースの作法が少しは見えてきたような気もする。本書で語ってきたのは、そうしたぼくなりの「戦い方の原則」である。


 プロジェクトとは果実を得るためにリスクを取って海に漕ぎ出す行為の総称だ。出港するときには誰でも、起こり得るあらゆる困難を予期し、完璧な準備を整えたいと願う。だが現実にはそれは不可能だ。では大海原で嵐に遭遇したとき、最後に頼りになるものはなにか。ぼくは船長の体に刻まれている「海の男の戦い方」だと考えている。プロデューサーの価値を決めるのも、プロジェクトを最後に守るのも、結局はそれだ。


 プロデュースの本質はプロジェクトの種類や規模には関係がない。大きくても小さくても、どんなジャンルのプロジェクトでも、考えるべきことや為すべきことはほとんど変わらない。だからぼくはいつも同じ作法でプロジェクトに臨む。そして、それを根底で支えているのはクライアントとの信頼関係だ。ケーススタディとして取り上げた二つのプロジェクトも、クライアントに恵まれたからこそ可能だった。決してお世辞などでないことは、本書を読んでくださった皆さんにはおわかりいただけると思う。プロデュースとは文字通りクライアントとの共同作業なのである。素晴らしい機会を与えてくださった森ビル株式会社と日本貿易振興機構に改めて感謝したい。


 これからはプロジェクトの時代だ。なんでも囲い込んで力で縛る時代が終わり、ソフトで緩やかな、そして対等でオープンな関係性を大切にする時代が来ている。クリエイティブな実りを期待するならそうするしかない。そしてそれが上手くいくか否かは、ひとえに皆さんの「プロデュース力」にかかっている。本書をわずかでも参考にしていただけるとしたら、望外の喜びである。


 最後に、本書の生みの親として辛抱強くサポートしてくださったイースト・プレスの本田道生氏、極上の装幀デザインをプレゼントしてくれた鈴木成一氏に心から感謝しつつ、筆を置くことにしたい。

2009年10月 平野暁臣

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