『誤解だらけの韓国史の真実』
[著]八幡和郎
[発行]イースト・プレス
韓国・朝鮮国家についていえば、何がルーツで、いつから存在するのか、韓国の国内でもコンセンサスが取れていません。普通に考えれば新羅による「三国統一」から始まるということですが、四〇〇〇年前の檀君による建国や、四世紀から七世紀にかけて中国や日本と覇を競った北東アジアの大国である高句麗をルーツとする意識が半島では一般的です。
日本という国は神武天皇が大和の畝傍山の麓で紀元前一六〇年二月一一日に建国したといわれますが、年代の不正確さを横に置いたとしても、小さな地域を支配するクニの誕生にすぎず、大和を統一したのは三世紀のことですし、統一国家になったのは四世紀と見られています。
ただ、そののち、日本国家が独立と統一を失ったことは一度もありません。南北朝時代といっても、たんなる跡目争いですから、国家が分裂したわけではないのです。そんなわけで、日本国家のルーツは何か、などとあまり考える必要がありません。
しかし、たいていの国家の場合にはそうはいきませんし、韓国・朝鮮国家や民族のルーツについて論争があるのは特別なことではありません。たとえば中国四〇〇〇年というように、漢民族の国家にはたしかに四〇〇〇年ほどの歴史がありますが、分裂や異民族による支配もしばしばで、そういう時代を中国史のなかでどう位置づけるかは非常に難しい作業なのです。