『経済用語 悪魔の辞典 ニュースに惑わされる前に論破しておきたい55の言葉』
[著]上念司
[発行]イースト・プレス
「円高になると輸出企業は損をするが、輸入企業は得をする」という都市伝説。
「円高とは日本円の価値が上がること、つまり日本が世界中から尊敬されていることだ」と固く信じている愚か者がいた。もちろん、この愚か者の認識は間違いだ。そんなことは断じてない。通貨価値と世界の尊敬とはまったく別問題だ。しかし、最大の悲劇は、この愚か者の職業が日銀総裁だったということだ。
皮肉なことに、身の丈に合わない円高を容認した日本銀行は世界中の政策担当者からバカにされていた。とくにアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の議長だったベン・バーナンキ氏は辛辣だ。「日銀の金融政策の透明性は十分だ。