アメリカの中間選挙において、共和党が大きく躍進しました。共和党が勝った背景には、「ティーパーティー(茶会)」の存在があり、民主党が負けた背景には、経済政策で有効な手を打てず、国民の不満を募らせたということがありました。オバマ氏は2年まえの大統領選挙で「CHANGE」という主張を高く掲げましたが、結局は、理想に走りすぎて現実を軽視したツケが回ってきたのでした。
同じことが、わが国の民主党にも言えます。「晴れた日のリベラル、雨の日の保守」という格言がありますが、私たちのこの日本も、閉塞状態が長く続き、出口がなかなか見えてこない状況です。このような時期だからこそ、リベラル志向の民主党政権ではますます手に負えなくなるのです。
第2章で詳しく述べたように、リベラルという政治思想が前提にする人間観そのものに、大きな疑念を抱かざるをえません。人間は理性的存在であるという人間観がリベラル思想の根底にありますが、それは私たちの願望に過ぎなかったのです。感情的存在であることこそが人間の本質であり、幾多の誤りが避けられないのが人間なのです。人は利己的存在ですし、自分自身をだますことすらします。