読みたいトコだけ買える本。
犬耳書店
初めての方へ 記事一覧 無料登録 ログイン
0
-1
kiji
0
1
1094621
0
離婚の影にオトコあり。
2
0
0
0
0
0
0
ルポ・エッセイ
お気に入りとは?

お気に入りボタンを押すとお気に入りリストにこのページが追加されます。興味のあるページ・気になったページを後から確認するのに便利です。

お気に入り お気に入り
はじめに

『離婚の影にオトコあり。』
[著]内藤みか [発行]二見書房


読了目安時間:7分
この記事が役に立った
0
| |
文字サイズ



 離婚の影にオトコあり。

 このタイトルを見て、ドキッとしたバツイチ女性や離婚予備軍女性は、少なくないだろうと思う。実は『タイトル買い』してくれる方もいるのではないか、とひそかに期待しているほどだ。

 時代の流れなのか、それとも類が友を呼ぶのか、もしくはマスコミ業界だから離婚率が高いのか、私の周囲にはバツイチ女性が多い。まあ近ごろは三〜四組に一組が離婚するような時代だから、数人の三十路女性がいたら、そのうちのひとりに離婚歴があっても、統計的には全然おかしくはないのだろうけれど。

 離婚にはさまざまなシチュエーションがあるけれど、最近は、奥さんのほうが離婚を切り出す事例が増えてきた気がする。

 そして、離婚を言い渡す妻の影には、かなりの確率で男の存在がある。“影”は本当なら“陰”と書くべきところかもしれない。けれど辞書をひくと“影”とは“光とは反対側にできるもの”とある。一見幸せそうな結婚生活の反対側で、妻たちが考えていることをこの本では書いているので、あえて“影”という漢字を選んでいる。

 さて、こんな例がある。

 ある日、妻に「離婚したいの」と切り出された……。
「突然何を言うんだ、話し合おう」

 あわててそう言ったところで彼女は首を縦に振らず、
「お互いの人生の発展のために別れましょう」

 などときれいごとを言われ、わけのわからないまま離婚届に印を押した。

 そして、後から知ったのだけれど、妻にはオトコがいた。彼と再婚したいから、離婚を迫っていたのだった……。

 またはこんな例もある。

 ある日、家に帰ったら、妻の荷物がごっそりなくなっていた……。

 テーブルの上には妻の印が押された離婚届だけが残っていた。

 あわてて妻の行方を探したら、見知らぬオトコと転居先で親しげに暮らしていた……。

 そんな目に遭ったら、男の人はどうするだろうか。
「うちは絶対そんなことはない!」

 と言い切れるのだろうか。

 現に私のまわりだけで二件も、妻がある日突然姿を消す、という事件が起きている。

 そしてビックリするのだけれど、ご主人はそうなるまで、妻の変化に何も気づいていなかったのだ。


 私自身も、かなり唐突に夫に「離婚したいの」と切り出した。しかも私の場合は強烈で、一度目の離婚は、
「好きな人ができたから、離婚する」

 だった。その後、結局、夫とよりを戻し、再婚したのだけれど、四年後にやっぱり離婚をした。

 二度目の時など、
「他の男と寝たから、もう別れよう!」

 とまで、言い切ってしまった。

 しかし、私みたいなバカ正直者は数少ない。

 多くの奥さんは、好きな人がいても、その存在について、頑(かたく)なに口を閉ざす。

 よけいなもめ事を起こしたくないから黙っているというのもある。他の男の存在を知られたら、逆上したご主人に刺されかねないし、その男性にも迷惑がかかってしまう。

 それから浮気がバレたら、離婚の時に慰謝料を請求されかねない。

 実際、私はモトダンに慰謝料を三百万円払っている。三十万円ずつ、十年分割で……。二人の子どもを育てながら東京のマンションの家賃を払いつつの返済で、かなり大変だ。それもこれも私がバカ正直に全部オットにしゃべってしまったから、こんなことになってしまった。こんなところでも、正直者はソンをする世の中なのかもしれない。


 もちろん浮気相手の存在なんて、バレないですむなら、バレないほうがいいに決まっている。実際、よその奥さんたちは本当に上手に立ち回り、男の存在など微塵(みじん)も疑われずに首尾よく離婚できた人も多い。

 これではしかし、端から見ていて、あまりにもご主人がおばかさんというか、お気の毒である。青天の霹靂のごとく、離縁を言い渡され、心底驚いているご主人を何人も見てきた。

 私のモトダンも、二度とも泣いて「全然わからなかった。なんでこんなことになったんだ。別れたくない」と私にすがりついてきた。でもそんな姿を見たらよけいに、幻滅して別れたくなった。

 というかどうしてこんなことになるまで気づいてくれなかったのよ、と思った。

 何度も何度もサインを送っていたのに。朝帰りもしたし、男から電話がかかってきたことだってあったのに。なんでここまで私の気持ちが離れるまで、気づいてくれなかったのよ、と。

 女のほうは、何度もメッセージを送っていたつもりでも男のほうは、まるで気づいていない。だから突然の宣告を受けて泣く男が出る。それってもちろんご主人があんまり奥さんに関心を持っていなかったせいでもある。どんなサインだよ、わからないよそれ、と嘆く男性陣の声を聞いていて、
『女性のほうはどんなふうに他の男性に気持ちが揺らぎ、離婚へと気持ちを固めていったのか』

 と誰かが説明する必要を感じてしまった。

 女性は不機嫌になればなるほど、その理由を男性に説明しようとはしない。だから離婚も黙ってしようとする。けれどもそのウラには、本当は気づいてほしい、という淋しい女心が見え隠れしている。

 ひょっとして、もっとお互いに分かりあえていたら。

 傷が浅いうちにご主人が気配に気づいていたら。

 離婚しなくてもすんだ夫婦って、たくさんいるのではないだろうか……。

 コミュニケーションが不足がちと言われている現代では、ケンカのあとの仲直りも、同じ屋根の下に暮らす相手に対してでさえ、メールでする夫婦がいる。お互いのことをよく理解すれば、防げる離婚というのは、あるのかもしれない。

 離婚した女性たちのことでエッセイを書いてみないか、と二見書房の米田さんに声をかけていただいた時、私は、これはこの世に必要な本なのかもしれない、と感じた。

 だから、私の周囲にいた離婚の影にオトコありな女性の実例を、なるべくありのままに綴ってみようと考えた。女性の側からすれば当たり前の感情の動きや行動も、男性側からすれば仰天の連続なのかもしれない。多少なりとも夫婦円満のお役に立てたらと思い、奥さんがこんな状態になったら要注意、というポイントもコラムで展開させていただいている。

 もちろん女性にも一緒になっていろいろ考えていただける本にしようと思って書いてきたつもりだ。モニタとして何人かのバツイチの女性たちにこの本の原稿を読んでもらったのだけれど、自分以外のよその奥さんが、どんなふうにして離婚に至ったのかがすごく気になっていたから、それを知ることができてよかった、と言われて、それが書き進めていくうえでの大きな励みになった。

 けれど、実際「オトコがいる」といっても、相思相愛の人のほうが少ない気がする。

 せつない片思いをしている人もいれば、男を手玉に取っている人もいる。私のように商売男に貢いでいる人もいるし、男に弄(もてあそ)ばれたり騙されたりしている人だっている。

 むしろつらい状態の人のほうが多いかもしれない。

 たとえ肉体の関係があったり、離婚したら一緒になろうねと口約束をしていたとしても、大抵は別れてしまう。離婚した時に交際していた男性と結ばれるほうが圧倒的に私の周囲では少ないし、離婚した途端、相手が逃げ腰になったり、音信不通になったりと、散々な目に遭うこともある。それなのに離婚の影にオトコがいた女性たちは口を揃えて、
「あの時、あのオトコがいて、ほんとうによかった」

 と言う。

 それはどうしてなのか……。

 その答えは、これから出てくる、私を含む離婚女性たちの離婚の風景を読んでいただければ、見えてくると思う。
この記事は役に立ちましたか?

役に立った
0
残り:0文字/本文:3038文字
この記事を買った人はこれも買っています
      この記事を収録している本
      この本で最も売れている記事
      レビューを書くレビューを書く

      レビューを書いてポイントゲット!【詳細はこちら】

      この本の目次