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独身女性の性交哲学
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§ セックスの目的は生殖ではない

『独身女性の性交哲学』
[著]山口みずか [発行]二見書房


読了目安時間:6分
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 女が恋愛とセックスをセットにするのに対して、男はそこらへんが曖昧なのも問題だ。

 いや、でもここで男性を責めはじめちゃうとキリがない。

 確かに、女の理想に合う男は少ないかもしれない。でも、それ、彼らだけの責任じゃない。不満を言えば言うほど、あちらの態度だって硬化するばかりじゃないですか。

 そもそも、恋愛がこれほどの価値を持ってしまったことが、大量の独身男女を生み出した原因で、恋愛をしたがっているのは、主に女のほうなのだから、そこを考えてみよう。

 なぜ、恋愛感情がなければセックスしたくないのか。

 恋愛資本主義において、男から女へ与えるのが金(=愛)ならば、女から男へはセックス(=愛)で応えることになる。

 女性にとって男の愛(保障)のないセックスが許せないのも、セックスが即ち女の愛を与えることであるという思考回路ゆえなのだろう。
「私は大事な愛をあげたのに、あなたは愛を返してくれたわけじゃないのね」

 そう思うから、女は傷つく。

 与えたものに見返りがなければ騙されたと被害者ぶる。まさに商人の発想だ

 男がセックスしたいのは、セックスしたいという欲以外にないではないか。

 女だって、愛とか考える以前にセックスしたいことはあるじゃないか。

 その中に恋愛感情が含まれているかどうかは、また別の話なのだ。

 恋愛資本主義以前の日本では、合意の上でセックスするということはそれ以上の意味を持たなかったのかもしれない。女のセックスが商品になり、金銭価値に転じてしまったからこそ、女はセックスを「したいかしたくないか」より「損か得か」で判断するようになった。

 好きな男に迫られれば、本音は「したい」けれど、ちゃんと責任とってもらえなければやられ損になる。この考え方は、いまでもかなりスタンダードのようだ。

 セックスの目的を分類すると、生殖と快楽(趣味) に分けられる。

 生殖目的のセックスは少子化の現在、不妊治療など、もはや医療行為に近いものも含まれる。

 しかし、「子どもを作るよ!」という明確な目的のもとに性行為に及ぶ男女がどれほどいるでしょうか。“デキ婚”という言葉も浸透しているし、楽しみのために行っていたら運よく(悪く?)生殖しちゃったというのがもっとも現実的だ。

 人間以外の動物は、発情期に生殖目的でするのがメインの性交(というか、それ以外アリエナイ)であるのに、人間はこの目的ではもはや発情することすら困難なのが面白い。

 これって、進化なのだろうか。だとしたら、人類はどこへ向かうのだろうか。

 さて一方、快楽(趣味)のセックスはさらに細分化できる。


 (1)肉欲のセックス(肉体快感を得る手段全般、自慰、売春……)

 (2)精神的充足のセックス(自己確認、所有や束縛、SM、スワッピング……)

 (3)奉仕のセックス(売春、夫婦……)


 体と心は結びついている。体が気持ちいいと「感じる」のも、精神的満足ではある。心が満たされた感覚がなければ、オーガズムも筋肉の痙攣に過ぎないのかもしれない。身体感覚としては、排泄の快感にも似ている部分がある。

 だから、自慰や性風俗はむなしいなんて、身体のみの生理的快楽を見下す傾向にあるのだろうか。

 素直に気持ちいいものは気持ちいい、でいいのに。

 射精を単なる排泄だと卑下するのは、そこに生じる暴力的な幻想や、女をモノとしか見られない心の貧しさが露呈してる証拠だ。肉欲を満たして虚しくなるのは、心と体がバラバラみたいで哀しいじゃないか

 相手との関係性の中で芽生える感情と、肉体の快感は分けられるのではないだろうか。そういう意味では、純粋な肉欲は自慰にしかないのかもしれない。

 恋愛感情とセックスが分かちがたく結びついている女性にとっては、「精神的充足」がセックスのすべてで、イケないことすら愛が足りないなんて発想になってしまう。あな恐ろしや。

 いくら相手を好きでも、初めてのセックスは女にとっては痛いし、男と違ってイケるようになるには回数を重ねる必要がある。

 もちろん男が献身的にがんばった結果イケるようになれば、そこに愛を感じることはあるかもしれないが、それは彼の愛でイッたのではなく、肉体的な反復で神経回路が出来上がったから。

 肉体主導で、「気持ちよかったから満足するセックス」と、精神主導で「彼との一体感に満足するセックスがあるはずなのだが、両方ほしいしそれは必ず一致しているべきだとお考えの女子が多そうである。

 奉仕のセックス提供者は、仕事としての売春なら快感そのものは「目的」ではないが、代償として金銭を得ることや、誰かに必要とされることに快感が付随するかもしれず、独立したカテゴリーを設けてみた。

 また、夫の「お勤め」に義務感で応じる妻にとっても、これまたサービスというカテゴリーなのかなと思う。

 その代償は愛だろうか。生活の安定だろうか。

 夫のほうが妻にサービスしてると思っているケースもあるし、売春に限定せずとも、男女問わず意外に奉仕の立場を取るセックスは多い

 セックスの目的が生殖ではなく快楽となれば、「お互い同じように」快楽を得られるとは限らない。結果的にどちらかがサービスするということになるのも仕方ないんじゃないだろうか。

 この3つは、男女がそれぞれ別の目的を持っていることも多い(女は愛されてる感(2)を求め、男は射精したいだけ(1)とか)し、肉体的な満足(1)とともに所有欲(2)も満たせるというふうに、重複が見られるのも常であろう。

 精神的満足の種類もいろいろだ。

 ちなみに『NHK日本人の性行動・性意識』(NHK出版・2002年)の調査によると、セックスの意味は(複数回答)、「愛情表現」「ふれあい(コミュニケーション)」あたりが20代〜40代女性に高く支持されている。

 男性も2030代では「愛情表現」の人気は80%以上もあるが、男性全般としては押しなべて「快楽」という選択が多い(20代〜50代男性で4055%)。対して女性で「快楽」を選択しているのは、16歳〜19歳の27%が一番高く、あとの世代は年齢を経るごとに下がっていく。

 40代〜60代の男性の20%は「ストレス解消」と回答。それに対して、40代〜60代女性の20%弱が「義務」っていうのが痛々しい。

 こういう調査は優等生的な答えが集まりがちだろうから、かるい参考程度に留めておく。それにしても、セックス=愛という図式は、強固な感じだ。

 否定はしないけど、そこに縛られすぎてやしないか?

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