『ストレスをなくす心呼吸』
[著]高田明和
[発行]二見書房
ここからはいよいよ、心呼吸法の中核「無の呼吸法」に入ります。
「無の呼吸」の場合、まず朝はかならず坐りましょう。線香をくゆらせ、できれば結跏趺坐で行います。
そしてまず、できるだけ長く「む――――」と息を吐いていきます。最後のところでは、お腹をできるだけへこまして、吐きつくします。
次にお腹に次第に息が入ってくるように、お腹を突きだすような気持ちで息を吸っていきます。このときも「む――――」と続けます。
このときに、吐く息を長くし、口から息を出しながら、「む――――」とうなるように、小さな声を出して息を吐いていくというやり方もあります。
曹洞宗の原田祖岳老師はこれをすすめています。大森曹玄老師も「声を出すと精神が集中しやすいので、これもよい方法だ」と述べています。
一方、呼吸の極意を述べた『天台小止観』という本には、呼吸はできるだけゆっくりさせ、「出入り綿々として存するがごとく、亡きがごとくにて」と述べており、できるだけ静かに、しかもかすかに呼吸をするようにすすめています。