『スター・ウォーズ フォースの覚醒 予習復習最終読本』
[著]河原一久
[発行]扶桑社
彼のことを説明する前に、彼が映画の冒頭に訪れる惑星ジャクーについて説明しておく。
第6話「ジェダイの帰還」で描かれた「エンドアの戦い」の約1年後、無人の荒廃した惑星ジャクーの星域で、帝国軍と反乱軍の最終決戦が行われた。ここで帝国軍は壊滅的な損害を被り、実質的に銀河帝国は崩壊し、その残党たちは「ファースト・オーダー」と名を変えて反乱軍勢力に対抗し、帝国を復活させようと活動を続けていくことになる。
この「ジャクーの戦い」では、帝国軍のスター・デストロイヤーが惑星に不時着し、その乗務員たちは帝国軍の救援を待ったものの、結局誰も助けに来てくれなかったため、不毛な地であるこの惑星に入植者として住むことになった。そうした経緯があったため、彼らは帝国軍勢力には反発しており、反乱軍勢力に協力していくようになったそうだ。
というわけで、この惑星ジャクーにおける文化の歴史は浅く、それゆえ総人口も多くない場所ということになる。「フォースの覚醒」の予告編に登場したスター・デストロイヤーが、問題の「不時着したスター・デストロイヤー」なのである。
このジャクーに住む老人から連絡を受けた反乱軍、現在ではレジスタンスと名を改めた勢力の指導者であるレイア・オーガナ将軍によって派遣されたパイロットが、ポー・ダメロンである。レイアの秘蔵っ子である彼は極秘の任務でこの惑星を訪れ、老人からある品物を受け取るが、その直後に、同じ目的を持ったファースト・オーダーの一隊が、ポーが訪れた集落を襲撃する。
彼は自分のXウィングファイターに搭載されたアストロメクドロイドBB‐8の体内にその品物を隠し、BB‐8に逃げるよう指示する。その後ポーは、カイロ・レン率いるファースト・オーダーの部隊に拘束され、ジャクーの軌道上にいるスター・デストロイヤーへと連行されていく……。
ポーが乗るXウィングファイターは、インコム社のT70型戦闘機で、クラシック3部作に登場したT65型の進化系である。T65と同様、4基のエンジンを搭載するが、T65が円柱形が4つだったのに対し、T70は半円形が4つとなっており、翼を閉じた状態では2つの円柱が形成される形になっている。この形状のおかげで機体はスリムになった。T65では2枚の羽根が広がる形だったものが、1枚の羽根がセンターで割れてハサミが開くような形状になったこともスリム化に一役買っている。搭載されるアストロメクドロイドはBB‐8で、旧式のR2型に比べて小型化されており、機体搭載時も露出が少なく、敵の攻撃の影響を受ける確率が小さくなっている。
ポーを演じるオスカー・アイザックはグアテマラ生まれの役者だが、歌手としても活動している。彼にとっては「フォースの覚醒」が初の主役級の仕事で、このあとは、「Xメン:アポカリプス」でアポカリプス役を演じることが決まっている。