『スター・ウォーズ フォースの覚醒 予習復習最終読本』
[著]河原一久
[発行]扶桑社
戦争だ! 無情なシスの暗黒卿ドゥークー伯爵によるたび重なる攻撃で共和国は崩壊しかかっていた。双方に英雄が生まれ、邪悪が世を支配していた。
残忍極まりないドロイド司令官として知られるグリーバス将軍は、恐るべき素早さで共和国の首都へ潜り込むことに成功し、銀河元老院の指導者パルパティーン最高議長をまんまと誘拐してしまった。
分離主義者たちのドロイド軍が包囲された首都から彼らの有益なる人質を連れて脱出を企てている中で2人のジェダイナイトが、囚われの身となった最高議長を救出すべく決死の作戦を開始していた……。
註◎このオープニング・クロールで注目しておきたいのは、「双方に英雄が生まれ、邪悪が世を支配していた」というくだりだ。3年前に勃発したクローン戦争は、銀河共和国内で起きた分離主義勢力と忠誠派との争いである。したがって、この時点では両者を公平に扱っており、どちらかが善でどちらかが悪と見なした書き方をしていないのだ。無論、観客は第1話からの流れでパドメやジェダイ側が善であることを感じてはいるが、そこをクロールで明文化していないところがミソだと思う。
結局のところ、たとえ善であってもジェダイや忠誠派はパルパティーンによる帝国の建国を止めることはできなかったわけで、それは彼らとして最大の失策だったと言える。最終的に忠誠派とジェダイの意志は引き継がれていき、次の3部作で勝利を収めることになるのだが、しかし、こうしたことは後世の史家による評価であり、この時点で偏った立場での善悪の評価を与えるのは公平ではないのだ。何げない点だが、本作の特筆すべきところだと私は思う。
戦争勃発から3年。アナキンはより逞しく成長し、オビ=ワンと並んで共和国勢力のヒーローになっていた。その2人がジェダイ・スターファイターを駆ってパルパティーン最高議長救出の任務に就いていた。コルサント上空で繰り広げられる大戦闘をかいくぐってグリーバス将軍の乗る旗艦に潜入した2人は、議長が捕らわれている場所へと急いだが、議長を発見し拘束を解こうとしたところにドゥークー伯爵がやってくる。