『寝たきりだけど社長やってます ―十九歳で社長になった重度障がい者の物語―』
[著]佐藤仙務
[発行]彩図社
梅雨の明けた7月下旬。カラッとした快晴の月曜日だった。
その日、僕は朝早く起床し、僕は母の送迎で実習先の授産施設に向かっていた。太陽はまだそれほど高い位置にはないが、その日はいつも以上に日差しの眩しい夏空だった。
車を運転する母が僕に語りかける。
「あんたね、毎日こんな遠い場所まで車で送迎させる気?」
母の問いに僕は答える。
「前から通いたいと思っていたし、僕にはここしかないと思うんだ」
「他にあんたが働けそうな場所がないなら仕方ないけど」
「うん、ここは先生も推薦する場所だし、ぜひ、働きたいって思ってるよ」
かねてから目標にしていた実習先である。