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なぜ? シンガポールは成功し続けることができるのか
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政治・社会
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はじめに 世界史上、最も偉大な発展を遂げた国、シンガポール

『なぜ? シンガポールは成功し続けることができるのか』
[著]峯山政宏 [発行]彩図社


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 最近、何かと日本でもメディアを席巻している「シンガポール」。

「シンガポール」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか?


 ほとんどの人は、頭上に船を模した空中庭園(サンズ・スカイパークと呼ぶ)を冠した3棟のリゾートホテル、「マリーナベイ・サンズ」を思い出すに違いない。


 ホテルの従業員いわく、地上200メートルに設置されたサンズ・スカイパークの全長150メートルのプールサイドを、SMAPが出演する携帯電話のCMソング『The Loco-Motion』をこれ見よがしに鳴らしながら颯爽と歩いている人間がいたら、100%「日本人観光客」と相場が決まっているそうだ。


 マリーナベイ・サンズは、シンガポールの摩天楼と呼ばれる金融街の対岸のマリーナ湾沿いに立地しており、夜になると、シンガポールの暗闇の中に無数のレーザービームを放ちながらその威容を誇示している。

「このオレがシンガポールの象徴だ!」


 そんな無言の自己顕示欲を、私はこのホテルから感じるのである。


 シンガポールの1人当たりのGDPは、とっくに日本を抜き、今やアジアで最も豊かな国となっている(中東アジアの石油産出国は除く)。シンガポールの夜景を彩る「マリーナベイ・サンズ」とその対岸のシンガポールの摩天楼は、この国の豊かさのシンボルと言っても過言ではないだろう。


「なぜ、シンガポールはアジアで1番豊かになったのだろうか?」


 こんな疑問が湧いてこないだろうか?


 私はシンガポール滞在歴がまもなく4年になるが、シンガポールに来た当初は「なぜ、シンガポールがアジアで1番豊かな国なのか」不思議で仕方がなかった。シンガポールは独立国家であるが、国土面積は東京23区よりも少し広い程度の小国なのだ。東京23区に住んでいる人は、東京23区だけで国家として独立することを考えてみてほしい。それがどれだけ難易度が高いものか容易に想像できるだろう。


 シンガポールは1965年にマレーシアから分離独立して、まだ、誕生してなんと49年しか経っていない。日本の長い長い歴史を考えると、赤子のような若さでしかない。


 これは、また項を変えて説明するが、シンガポールは自らが望んで独立を達成したわけではない。華人比率が取り分け高いシンガポールとの統合によって、民族対立が激化すると予想したマレー人国家のマレーシアは、この混乱を回避するためにシンガポールをマレーシアから「追放」したのである。


 1965年8月9日、シンガポールは、マレーシアの1州ではなく単独の独立国家となった。それを伝える記者会見の場で、当時のシンガポールの首相リー・クアンユーは次のように述べ、こみ上げるあまりの不安感からか、その場で泣き崩れた。


 You Tubeで当時の映像が確認できるので、興味がある人はぜひ一度見てほしい。異常な雰囲気の記者会見なのだ。


「For me it is a moment of anguish. All my life, my whole adult life, I have believed in merger and unity of the two territories,We are connected by geography,economics and ties of kinship……It broke everything we stood for.

(それは、苦悩の瞬間だった。人生を通して、これほどの苦悩を味わった事は一度もない。私は(かたく)なにマレーシアとシンガポールの合併と統合を信じていたし、両国は、地理的にも経済的にも、社会的にも結ばれているのである。それが、私たちが拠り所にしていたものが崩れ落ちたのだ)」



 1国の首相が、不安のために、記者会見で涙を流さなければいけないほど、シンガポールは前途多難のまま、国際社会の大海原に放り出されたのである。


 シンガポールに無いものを上げれば切りがない。


「技術がない」

「土地がない」

「食料がない」

「水がない」

「軍事力がない」

「人がいない」

「国民の連帯がない」



 しかもである。北はシンガポールを追放したマレーシア、そして南はイスラム国家のインドネシアというように、大国に挟まれているのである。このような状況で、シンガポールがその40数年後にアジアで最も豊かになると誰が予想しただろうか?

『信長の野望』というシミュレーションゲームをやった経験がある人だったらすぐに分かるだろう。


 前門の虎(マレーシア、信長の野望で言えば武田信玄)、後門の狼(インドネシア、信長の野望で言えば今川義元)に囲まれ、国内を見渡せば「ない」づくしの絶望的状態。しかも、華人だけではなく、インド人、マレー人など民族が多様であり、国民の連帯感が希薄な国が、他国から蹂躙されず、独立を保ち続けアジアで1番豊かになるなど、ほぼ不可能であるということを。100回シミュレーションしても、現在のシンガポールにはたどり着かないだろう。


 しかし、歴史は1つである。シンガポールは、アジアで最も豊かな国となったのである。



 シンガポールの歴史は世界史の奇跡と言っても過言ではないと思う。


 私はこの本で、シンガポールが未曾有の「ない×7乗」という涙ぐましい状況から、世界有数の金持ち国家になったそのカラクリを解き明かすことを目標としている。シンガポールはこの「何もない」という状況をどのように克服して、奇跡の発展を成し遂げたのであろうか?


 この本を読んでいる人で、「オレの人生とはこんなもんだ、一生金持ちになれずに貧乏なままサラリーマンを続けるしか選択肢がない。ラットレースがオレの人生だ!」と嘆いている人がいたら、是非、この本を最後まで読んでほしい。


 あなたの現在置かれている状況は、1965年8月9日のシンガポールと比較すれば100倍も恵まれていると、この本を読み終わった後に思うだろう。


 それでは、マレーシアから追放される形で独立したアジアの小国が、世界有数の富裕国になったその奇跡の物語に、しばしの間お付き合いいただきたい。

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