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「教育超格差大国」アメリカ
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政治・社会
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名門保育園・入園をめぐる刑事ドラマ

『「教育超格差大国」アメリカ』
[著]津山恵子 [発行]扶桑社


読了目安時間:3分
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 アメリカで人気の刑事ドラマ『ロー&オーダー クリミナル・インテント(邦題:ロー&オーダー 犯罪心理捜査班)』を見るのは、アメリカ社会の暗部を知るのに役立つ。特定の人種に対する憎悪から発生する犯罪や、企業や弁護士事務所で昇進をめぐる内部抗争から起きる殺人など、日本にはありそうもない犯罪心理、つまり社会的背景を知るたびに、驚かされる。舞台は全編が、ニューヨークだ。


 なかでも特に記憶に残っているのが、「名門保育園入園」をめぐる事件のエピソードだ。


 高所得の金融マンが、三歳の子どもと散歩中に至近距離から撃たれて殺害される。続いて同業者の母親が三歳の子どもとともに撃たれた。さらに二歳の子どもまで犠牲になる。主役のロバート・ゴレン刑事とアレクサンドラ・イーム刑事のコンビは、聞き込みを続けるうちに、三人の子どもが、ニューヨークの高級住宅街にある名門プレスクール(二~五歳児、保育園・幼稚園)に入園する「ウェイティングリスト」に載っていたことを突き止める。ウェイティングリストが、次の殺人を予言する「死のリスト」だったわけだ。


 幼児とその親の連続殺人は、実は、ある母親が、ウェイティングリストの我が子の順番を早くするための冷酷な犯罪だった。彼女の夫と(しゅうとめ)は、同じ保育園を出て、有名大学を卒業している高学歴一家で、殺人犯の母親には、子どもを何としても保育園に入れなければならないというプレッシャーもかかっていた。


 このエピソードのタイトルは、「私どもは、ヘンリー・キッシンジャーからの推薦状はお断りしていることをご承諾ください」。


 アメリカ社会では、入学や入社など、キャリアの節目ごとに、常に「推薦状」が必要だ。キッシンジャー元国務長官といえば、ノーベル平和賞受賞者で、生存している外交家では大物中の大物。彼の推薦状は、どこに行ってももっとも強い「コネ」となるにちがいない。このタイトルは、名門保育園に我が子をねじ込むために父母が、有名人のつてをたどって、なるべく強力な推薦状を取ろうとする競争がエスカレートしている状況を表している。


 しかし、キッシンジャーの推薦とはいえ、当事者は将来どんな可能性があるのかわからない、幼児だ。したがって、キッシンジャーの推薦状は意味がありませんよ、と保育園側が父母に釘を刺している、という文面だ。ちなみに、このタイトルは、同ドラマエピソードの中でもっとも長い。結末を見たあとは、さらに背筋を寒くさせる点でも凄みが効いている。


 保育園入園をめぐる事件が、ドラマとはいえ忘れられなくなるのは、高収入が保証される高学歴の道を歩むには、二、三歳から競争が始まっているというアメリカの現実をかいまみるからだ。


 特に、世界有数の金融街ウォール・ストリートに勤める金融マンや弁護士、医師など高給取りが集中して住んでいるニューヨーク・マンハッタンが舞台となれば、ますます現実味を帯びてくる。


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