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29 【東日本各地で出土する宇宙人実存の証拠】遮光器土偶は宇宙人の像?

『謎解き超常現象4』
[著]ASIOS [発行]彩図社


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【伝説】


 (しゃ)(こう)()土偶とは主に縄文時代晩期(約3200~2300年前)に作られ青森県・岩手県・宮城県を中心とする東日本各地から出土する特異な様式の土偶(人間を模した土製品)である。遮光器というのは北方民族が雪焼けから目を守るために用いるゴーグルのことで、この土偶の眼の形がゴーグルをつけたように見えるというのがその通称の由来である。その他の特徴としては小さな口、くびれた腰、横に張り出した肩と(でん)()、太くて丸みのある腕や足の付け根などの特徴がある。




 スイスの宇宙考古学者※①エーリッヒ・フォン・デニケンは、この遮光器土偶に注目し、それが実は宇宙人の姿を模したものと主張した。


 さらにNASA(アメリカ航空宇宙局)はその説に基づいて遮光器土偶を分析し、その形状が宇宙服として合理的なものであることを確かめた。顔にゴーグルをかけたような頭部はヘルメット、小さな口はマスク、横に発達した肩と臀部は耐圧構造、腕や足の付け根の太さは柔軟性を重視した関節可動部をかたどっていたのである。


 東日本の縄文人は宇宙人とコンタクトしてその技術力に驚き、宇宙服を来た彼らの姿を神像として残したのだろう。実際、江戸時代に編纂された『()()()(そと)(さん)(ぐん)()』という古文書には古代の神像として遮光器土偶が描かれている。また、一説には、縄文人が宇宙人によって古代日本列島を襲った天変地異から救われた際、宇宙服を着てUFOに搭乗した時の自分たちの姿を記念に残したのだともいう。


 また、土偶には遮光器土偶の他にも写実的な人体や既知の動物とは程遠い姿の生物をかたどったものがある。それらは縄文人が出会った宇宙生物の姿を残したものである。



【真相】


 遮光器土偶=宇宙人像説はデニケンが最初というわけではない。デニケンに先駆け、この説を唱えた人物としてはソ連(当時)のSF作家※②アレクサンドル・カザンツェフがいる(1962年、雑誌『アガニョーク』に発表したエッセイ)。


 また、※③CBA(宇宙友好協会)という日本の団体の機関誌『空飛ぶ円盤ニュース』ではすでに1960年から遮光器土偶=宇宙人像説が掲載されていたとされ、カザンツェフはこの団体の代表で交友があった松村雄亮氏からこの説を教えられた可能性がある。


 また、NASA云々という話もやはりCBAから出ている。ただし、松村氏の主張はカート・V・ザイジグというアメリカ人からの書簡で、遮光器土偶が現在(60年代当時)、研究開発中の宇宙服に似ていると教えられたというだけで、NASAが遮光器土偶を研究したと具体的に述べているわけではない

『東日流外三郡誌』は※④戦後に書かれた偽書であり、その偽作者も筆跡などから明らかにされている。そこに遮光器土偶が神像として出てくるのは、オカルト好きの偽作者が、デニケンらの影響で話題になった遮光器土偶をとりこんだためと見るのが妥当である。



 ●バラエティー豊かな土偶


 縄文時代の土偶は多種多様で遮光器土偶はその様式の一つにすぎない。さらに遮光器土偶を構成する個々の要素は他の様式の土偶や土製品でも見ることができる。


 たとえばゴーグルをかけたような眼は東北地方の土面といわれる人面をかたどった土製品にあるし、幅広の臀部とくびれたウエストの組み合わせは長野県を中心とするいわゆる「※⑤縄文のビーナス」という土偶にもみられる。そして、それらは遮光器土偶と個々の要素を共有しているにも関わらず宇宙服には見えないのである。


 遮光器土偶は、縄文人が他の土偶などに共有されている要素を集めた結果、たまたま宇宙服のようにも見える姿になったというだけのものである。美人の定義は文化ごと、さらにいえば個人の好みごとに様々だが大きな目や小さな口の女性が好みという男性は現代もいる。遮光器土偶は縄文時代晩期の人々の好みを一つにまとめた産物とみなすのが妥当だろう。また、奇妙な姿の人物や動物についても宇宙生物を持ち出さなくてもデフォルメの結果や架空のキャラクターと考えた方が無理はない。現代日本でも、たとえば秋葉原の店頭を見れば写実的な人体や既知の動物とは程遠いフィギュアが並んでいるではないか。


 なお、遮光器土偶に限らず縄文時代の土偶は通常、壊された状態で屋内や祭祀施設に埋められている。その中には壊しやすいようにあらかじめ脆い個所ができるよう作られたと思われるものさえある。これは土偶が崇拝の対象としての神像というより壊すことを前提とした呪術用の人形であったことを示している。その呪術の内容については考古学者などにより病気平癒の祈願や豊穣を祈るための一種の生贄などさまざまな憶測がなされているが、少なくとも宇宙人崇拝やUFO搭乗記念のために作られたものでないことは確かである。

(原田実)




       ■参考資料:


        エーリッヒ・フォン・デニケン『未来の記憶』(早川書房、1969年[原書1968年])


        エーリッヒ・フォン・デニケン『星への帰還』(角川書店、1971年[原書1969年])


        エーリッヒ・フォン・デニケン『太古の宇宙人』(角川書店、1976年[原書1973年])


        高坂勝巳『地球遺跡 宇宙人のなぞ』(立風書房、1980年)


        並木伸一郎『超古代オーパーツFILE』(学習研究社・2007年)


        縄文造形研究会編著『縄文図像学Ⅰ』(言叢社、1984年)


        縄文造形研究会編著『縄文図像学Ⅱ』(言叢社、1989年)


        監修:武藤康弘取材・文:譽田亜紀子『はじめての土偶』(世界文化社、2014年)


        原田実『トンデモ日本史の真相 史跡お宝編』(文芸社、2011年)


        ASIOS『謎解き古代文明DX』(彩図社、2014年)


        斎藤隆一「遮光器土偶」(『北奥文化』第25号・北奥文化研究会・2004年12月、所収)


        橋本順光「デニケン・ブームと遮光器土偶=宇宙人説」(吉田司雄編著『オカルトの惑星』青弓社・2009年、所収)



※①エーリッヒ・フォン・デニケン

1935年生まれ。スイスの実業家、作家。1968年に人類は太古の昔に地球を訪れた宇宙人の手によって造られたという衝撃的な内容の『Chariots of the Gods?』(1968年、『未来の記憶』として翌年に日本でも出版)を出版。世界的なブームを巻き起こした。

※②アレクサンドル・カザンツェフ

(1906~2002)

ロシア出身のSF作家。1946年には、小説『爆発』で、1908年に起きたツングースカ大爆発の原因は核兵器を積んだUFOが墜落したからとの説を発表、物議をかもした。

※③CBA(宇宙友好協会)

1957年に航空ジャーナリストの松村雄亮氏が設立した団体。先進的な団体で60年代には早くも「ポールシフト」や「古代宇宙飛行士説」といった現代ではお馴染みの説を主張していたとされる。

※④戦後に書かれた偽書

詳しくは『謎解き古代文明DX』(彩図社)を参照のこと。

※⑤縄文のビーナス

長野県茅野市の棚畑遺跡から出土したものが有名。縄文時代中期のものとされ、妊娠した女性の姿を表しているともいわれる。全長27センチで、重量は約2キロ。平成7年に国宝に指定されている。

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