家族の絆の大切さを説く人がいる。家族の絆は誰もが認める立派なことである。しかし考えてもみてほしい。家族の犠牲にさせられている人がどうして家族の絆を殊更に唱えるだろうか。
家族から甘い汁を吸っているからこそ、家族の絆を声高らかに唱えるのである。
弱い人は、家族から「いい人」と思ってもらいたくて、家族の絆の大切さを説かれると、家族の犠牲になってしまう。
ずるい人のほうは、家族の絆というきれい事を言うことで自分の汚い欲望をかなえるのである。
しかし犠牲になる人は、そうしたずるい人から「あなたは利己主義だ」と言われるのが怖くて本当の利己主義者の餌食になる。