【伝説】
2013年2月15日午前9時20分(現地時間)、ロシア連邦ウラル地方のチェリャビンスク州付近で、隕石が大気圏に突入し、高度20キロで爆発した。大音響が轟き、4000棟以上の建物で窓ガラスが割れたりドアが吹き飛ぶなどの被害が発生し、1491名の負傷者が出た。被害総額は10億ルーブル(約30億円)と推定されている。
NASAの発表によれば、この隕石は直径17メートル、質量1万トンで、爆発によって発生したエネルギーは、※①TNT換算で約0・5メガトンと見積もられている。
隕石の落下によって負傷者が出たのは、これが初めてのことである。
このような珍しい現象がこの時代に起きたことは、何を意味しているのだろうか。もしかして、何かもっと大きな変化の前触れなのだろうか。
【真相】
宇宙には大小さまざまな物体が飛び交っており、頻繁に地球に落下している。その総量は、年間約4万トン、実に1日100トン前後と推定されている。
大気圏に突入した物体は、※②空力加熱で数万度の高熱を帯び、光を放つ。これが流星である。マイナス4等より明るくなると「火球」と呼ばれる。
流星の90パーセント以上は、直径0・1ミリ以下の小さな塵(宇宙塵)で、高熱によって空中で蒸発してしまう。直径数センチ程度のものになると、蒸発せずに地上に落ちてくる。これが隕石である(だから厳密に言うと、宇宙にある間はまだ「隕石」ではない)。チェリャビンスク隕石ほどの大きさのものなら、「小惑星」と呼んでも差し支えない。
なぜ岩のかたまりが空中で爆発するのか? 大気圏に突入した小惑星には大きな空気抵抗がかかるうえ、高熱によって内部のガスが膨張し、ばらばらに分解する。