『日本の聖地99の謎』
[編]歴史ミステリー研究会
[発行]彩図社
はじめに
「聖地」と聞いて、あなたはいったいどんな場所を思い浮かべるだろうか。
最近では映画やアニメの舞台となったところや、スポーツの決勝戦が伝統的に行われるスタジアムなどを聖地と呼ぶこともあるが、本来は宗教において重要な場所や霊的な儀式を行う舞台などのことをいう。
つまり、人々がそこに大いなる神の存在を感じる場所が聖地なのである。
日本は古来、自然のあらゆるものに“八百万の神”が宿るとされてきた。そのため、小さな島国でありながらさまざまな場所に聖地が存在するのだ。
しかも、そこには不思議な力が宿っているという言い伝えや、いまだに解明されていない現象や謎があることが多い。
たとえば、京の奥座敷にある貴船神社に伝わる呪咀信仰や、世界遺産にも登録されている平泉の中尊寺金色堂に眠る三体のミイラ……。そして、真言宗の総本山である高野山の奥には歴史上のある人物が“生きている”ことを知っているだろうか。
そんな興味深い話が伝わる99カ所の日本の聖地を集めたのが本書である。
とはいっても、それらの場所は結界が張られて立ち入り禁止になっているようなところではない。そのほとんどが観光スポット、もしくは地域の鎮守として祀られているような誰でも訪れることのできる場所だ。
だが、何も知らなければただの場所、知ってしまうと目には見えない何かを感じてしまうのが「聖地」とされる所以である。
本書を読んで一度訪れていただければ、日々の暮らしの中で埋もれてしまっていた神聖なる感覚を取り戻せるはずだ。
2013年5月
歴史ミステリー研究会