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ゼロからでも始められるアイドル運営 楽曲制作からライブ物販まで素人でもできる!【電子書籍版おまけ加筆つき!】
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エンタメ
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電子書籍版おまけ加筆 ゆるめるモ!の躍進とそしてこれから

『ゼロからでも始められるアイドル運営 楽曲制作からライブ物販まで素人でもできる!【電子書籍版おまけ加筆つき!】』
[著]大坪ケムタ [著] 田家大知 [発行]コアマガジン


読了目安時間:20分
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4ケタのワンマンライブは違う世界



 この本が出てから2年が経ちました。その間にゆるめるモ!は2枚のフルアルバムを出し、恵比寿リキッドルーム・赤坂ブリッツ・お台場Zepp DiverCityで3回のワンマンライブを行い、数々の大型フェスや海外遠征などでライブを重ねてきました。そして、2人のメンバーが卒業していきました。


 本書で書いた、ぼくとゆるめるモ! 


 何もかも手探りのままアイドルグループを立ち上げ、メンバーと過ごした歳月はかなり濃蜜だったのは間違いないですが、その頃見えていた光景と今ぼくたちに見えている光景はずいぶん変わりました。この章では、その2年間の話をさせていただきます。まずは、2年前の続きであるリキッドルームのワンマンライブの話、そしてワンマンライブの作り方からはじめます。



 8人グループになって初のワンマンライブ「2014:A Space Odyssey On Liquid RooMo! ~リキッドルーモ!号で行く、2014年宇宙の旅~」を恵比寿リキッドルームで開催したのは2014年の8月9日です。リキッドルームの収容人数は約1000人、普通アイドルに限らず最初のワンマンライブは100~400人くらいのライブハウスで行い、次に800~1000人規模のセカンドワンマンライブを……というのが多いです。


 しかし、このワンマンをこの先の起爆剤にしたかったし、当時まだリキッドルームでやるアイドルが少なかったこともありインパクトが残せる。たとえ失敗したとしてもチャレンジした方がいいな、と思い決断しました。


 ただ、それまでゆるめるモ!が主催してきたライブは200~300人規模どまり。そのくらいの大きさならプロデューサーであるぼく1人を中心に運営できるのですが、1000人ともなるとやはり甘くはありませんでした。当時、すべてを把握してるのはぼく1人。さらにライブの流れやセットリストもライブ直前に決めたのもあって、とにかく準備不足でした。ライブ当日は、ようなぴにだけに全体の流れを伝えて進行してもらったのですが、彼女も急に言われて覚えきれるわけがない。途中で頭が真っ白になっているの見て、あわててぼくがステージ脇から伝えに行ったり。ライブの最中もドタバタでした。


 特にリキッドルームでは初のバンドセット披露という目玉があり、これがとにかく大変でした。バンドメンバーを集め、一堂に介して練習するとなると、スタジオ代はじめお金がかかる。バンドメンバーがゲスト込みで15人、さらにゆるめるモ!のメンバーでリハーサルをするのですから、時間を調整するだけでも至難です。


 当日は1000人を越えるお客さんでチケットも完売になったのですが、ここまで来てくれたのは正直意外でした。感謝しかありません。ライブ一週間くらい前の時点で売れていた前売が500か600枚。とにかく1枚でも売れるために何かしよう、とライブ会場やそれ以外でもビラを配ったり、告知映像を毎週YouTubeにアップしたり、プロモーション的な盛り上げにも力を入れました。このへんはリキッド以降のワンマンも変わりません。こうしたファンの方、メンバーの頑張りによって、なんとか無事にリキッドルームのワンマンを終えることができました。


 ブリッツやZeppでワンマンを終えた今となっては「なんでリキッドルームであんなにドタバタしてたんだろう……」と思うほど、ライブでの準備不足や人員不足が改善されました。300人規模でやっていた方法でやるには、リキッドルームが限界でしたね。早めに全体の流れを決めてスタッフと共有していれば、もっと良いライブができたと少し後悔もあります。


 メンバーだけでなく、ぼくらもリキッドを経験をしたことで、続くブリッツ・Zeppではかなり先を読んだ動きができるようになりました。スタッフやバンドもどんどん経験を増していきましたし、そもそもZeppは会場自体は約1年前、ブリッツも半年近く前に押さえてたので時間的にも余裕がありました。このように、とにかくチャレンジしていかないと次のステップに進めません。


 そして、とにかく4ケタを越える大箱は準備が大事! それに尽きます。


ワンマンで変わったメンバーの意識



 ライブが終わってからメンバーの意識も明らかに変わりました。それまで主催イベントなどの経験はありましたが、それとは違うワンマンという気迫がありました。それは当日までの努力もそうですし、当日のDVDなんか見ると初めての大舞台という高揚感が伝わってきて猛烈に感動しますね。メンバーたちもこんなにお客さんが入ると思ってなかったみたいですから。


 ワンマン以降、メンバー全員に自分たちがやっていることに対する確信が芽生えました。それまでぼくが「ゆるめるモ!はイケるぞ」と言っても、まだどこか疑心暗鬼だったと思うんです。それが1000人のワンマンをやったことで、このままの方向に本気で向かっていけばいいんだって思ってくれるようになったんじゃないでしょうか。


 メンバーのゆいざらすはリキッドルームのライブで卒業。ゆみこーんはこの日出れずにそのまま卒業となってしまいましたが、この日ステージに立った6人がその後2年間辞めずにこれたのは、この日の体験があったからだと信じます。よくファーストワンマンをやったグループが「自分たち“だけ”をこれだけの人が見に来てくれた」という言い方をしますけど、まさにその喜びを体験したことは、かけがえのない経験です。これはワンマンライブでしか得られないメリットです。


 ただワンマンは過去3回やりましたが、どれもぜんぜん黒字ではありません。バンド演奏を行うことでスタジオ代はバカにならないですし、ツインドラムとかやっているから機材のレンタル代もかかる。それに照明を入れて、レーザーを入れてとなったらまた費用がかかる。理想的には、それらすべての料金をチケット代だけでペイできればいいのですが、実際はトントン。物販で少しプラスにできている状態です。


 実は黒字にするやり方はあります。昼夜2回公演にして箱代を抑えたり、照明のクオリティを下げたり、レーザー演出を使わなかったり、ステージ上もお金かけないようにと、安くしようと思えばできる。でもそれはやりたくありませんでした。お客さんにライブを見て満足してもらいたいというのが第一だからです。そして、後述しますがライブを良くすることが、アイドルグループにとって何よりも大事だと考えているからです。



 最初の頃と比べると、活動は「ライブ中心」に考えるようになりました。それは曲作りにおいてもです。


 ぼくとメンバーがライブで見たい光景、創りたい世界観がある。だから「ライブでこういう曲があるといいよね」「こういう曲が足りないな」という考えで曲を作っています。その結果、セカンドアルバムは新曲が8曲という、普通のアイドルのアルバムではありえない構成になってしまいました。


 でも、アルバムに新曲をたくさん入れるのは、バンドの世界では普通のことです。アルバムを出して、その世界観でツアーを回って、集大成のファイナルを迎えるというのがバンドのやりかた。いっぽう、アイドルは世界観とかアルバムの発売とか関係なしに、唐突に「次のワンマンここです」となるのが主流です。ゆるめるモ!はそういうアイドルのフォーマットから離れつつあります。なぜなら、perfumeしかりBABYMETALしかり、音楽コンセプトとそれをどう見せるかを考えているグループしか、上にいけなくなっていると感じているからです。


念願のフェス出演・海外ライブ・全国ツアー



 リキッドルームでのワンマンでJOJO広重さんらをゲストにバンドセットをやったのが話題になり、それ以降はアイドルが出ないようなフェスやロックバンドとの対バンといったライブが増えました。またTOKYO IDOL FESTIVAL(TIF)や@JAM EXPOのような大型アイドルフェス、夏の魔物やサマーソニックといったフェスにも出演。TIFなんかはメンバーもすごく喜んでいたし、ぼくとしても若いころ聴いてたバンドと共演できたりするのは本当嬉しかったですね。



 その中でも、一番印象深いのはベトナム遠征です。もともとゆるめるモ!は結成する時点で「いつか海外でライブしたい」という目標を立てていました。そして念願が叶い、2015年7月に『Manga Festival 2015』に出演させてもらうことになりました。ただベトナムに着いた初日は、僕の気持ちとは裏腹に、メンバーは食べれるものがないとかホテルが汚いとかで「早く帰りたい」とばかり言っていました。


 ライブでも苦戦しました。特に一日目のステージは本当に手探りで、言葉も通じないしどうしようと戸惑いながらのライブでした。しかし「言葉なんて関係ない!」とメンバーが開き直ってからは、ライブの様子が一変。特に最終日は本当に素晴らしいライブができて、アンコールが鳴り止まないくらいの反応を得られました。メンバーも言葉が通じなくても音楽でつながれるんだって本気で感動したと思います。最終日は「帰りたくない」と言うほどまでに、心境の変化があったのです。


 ベトナム行った時のメンバーは7月以降の4人なのですが、そこで得た感動も今のモチベーションに繋がっていると思います。


 その後台湾でもライブをやったのですが(2016年4月)、これはゆるめるモ!大好きですっていう台湾のファンの人が呼んでくれて実現したものです。我々のやってることが遠い海外まで着実に届いてるんだなと実感した出来事です。



 ワンマン以降の広がりでいえば、全国ツアーを始めました。といってもゆるめるモ!は芸能事務所に所属しているわけではないですし、何のコネやツテもないし、イベンターやレーベルがついてガッツリやれる感じのグループでもない。自分たちでライブハウスに「ゆるめるモ!というアイドルグループなんですが……」と連絡しブッキングしていきました。


 最初のツアーは2015年4~5月の『東名阪だよ! 全員ハミ出すモ!ツアー』。移動は全部新幹線です。ゆるめるモ!は人数が多いので、まったく儲かりません。車で移動するアイドルグループも多いですけど、うちは単純に事故が怖いという理由です。車で事故に巻き込まれたアイドルの話もありますし、バンドマンで亡くなった方もいます。そういう話を聞くと、絶対に安全策を取りたいのです。親御さんからお子さんを預かっているわけですから。


 儲けがなくても全国に行く価値があるか、というと間違いなくあります。行くたびに「こんなにお客さんが待っててくれるんだ」というのを感じるんですね。特に最近は中高生の女の子とか若いファンも増えているのですが、まずそういった子は東京に遠征とかできない。地方に行ってそんな子たちから「待ってたよ~」と言われるのがとてつもなく嬉しい。そしてメンバーも「全国規模のアイドル」という、より先の目標を実感し、モチベーションアップにも繋がります。


 全国ツアーは規模が大きくなればなるほど宿泊や移動が大変ですし、その大変さは人数に比例します。でも、待ってくれているファンがいる限り、これからもいろんなところに行きたいです。


テレビやSNSで話題になるということ



 この本が出て以降起きたもうひとつ大きな出来事は「メディアによる拡散」です。まずツイッターに載った1枚の画像をきっかけに、メンバーのあのちゃんの顔と名前が一気に広まりました。さらにその後、テレビに出させていただくことも増えて、レポーター的な仕事をやることも。正直、ツイッターでバズったりテレビに出演しても、大きくライブ動員が跳ね上がるということはないのですが、いわゆるアイドルファン以外のところに届かせる可能性を感じます。実際、地方に行くと「テレビでゆるめるモ!を知りアイドル現場に来ました」という中高生のファンにもお会いします。


 他に知名度が上がるメリットとして、それまで通らなかった仕事が通りやすくなったりします。たとえば、以前はファッション系の人にモデルの仕事をアプローチしてもぜんぜん反応がなかったのが、最近は向こうから話をいただけるようになりました。


 ただ、メディアの拡散がなくても、ゆるめるモ!のメンバーは多くの人に届いたと思うのです。彼女たち自身が持ってた魅力やカリスマ性、求心力みたいなところはいずれ注目されたはず。


 それを実感したのは、あのちゃんが深夜番組に出演した時のこと。台本と関係なく彼女がアドリブで話をしたところ、それを司会の田村淳さんに拾ってもらえたのです。彼女は求められたものを一瞬で理解して、それに応えてきてくれた。その結果の積み重ねが、バズというわかりやすい形になって現れただけです。


 最近はテレビでもメンバーは頑張ってくれています。メンバーが出たテレビを見て、そこからYouTubeで動画を見て、良ければライブに来てくれる。そして楽しければまた来ようと思うはず。だから「良いライブをやる」というのが基本ないと絶対にダメなのです。知名度はあるけど、ライブではそんなにお客さんが入ってない……そうならないようにしないといけません。だからテレビや雑誌に出ている彼女らを見ると、少しでも知名度をあげようとメンバーが頑張っているんだから、ぼくらスタッフや制作陣も頑張らないといけないなって身が引き締まりますね。


 とにかくこの新書が出た頃に比べると、メンバーのメディア露出やソロ活動などが増えたのは本当にありがたいことです。最初のころは「ニューウェーブ+アイドル」みたいな言われ方をしていましたが、最近はもう言われません。「楽曲派」みたいな言われ方もされなくなりました。そのくらいちゃんと「正統派とも勝負できるアイドルグループ」になったんだと思います。垢抜けてきて、自分の見せ方もわかってきた。本人たちには言わないですけど、とても感謝しています。


もうひとつのアイドルグループの立ち上げ



 本書の最後で「この本がきっかけでアイドルグループを始めました、って人が出てきてほしい」と書きましたが、この本がきっかけとまではなくても、アイドルグループ立ち上げる時の参考書にしていただいたという話をちらほら聞くのは嬉しいですね。また、ぼくらのプロデュースチームでも、もうひとつグループを立ち上げました。それが「レッツポコポコ」です。


 ゆるめるモ!の音楽性がどんどん外に攻める感じになってきたので、それとは違うもっと王道アイドルぽいグループもやりたいな、とは前から思っていました。とはいえアイドルアイドルしてるんだけど、ただ今のアイドルっぽくないグループということで、80年代歌謡っぽい感じをコンセプトに据えました。アイドルファンも若い層が増えているので、若い人には新鮮に聴こえて、おじさんは懐かしく思える、という仕掛けです。キーワードとしてはそんな「懐かしくて新しい」です。


 ただレッツポコポコに関しては、実質のグループ運営やメンバーのマネージメントなんかはスタッフの小松なつきにすべて任せています。彼女はゆるめるモ!がリキッドルームでワンマンをやった時くらいからスタッフとして加わってもらっています。彼女がゆるめるモ!のスタッフになったのは、ある一通のメールがきっかけでした。彼女は高校3年生の時に「どうしても音楽業界に就職したいからわたしを使ってください」といろんなところにメールを出していたそうです。その中で、唯一返事を送ったのがウチでした。この時は本当に人手が足りない時で、じゃあボランティアでお願いできますか、というところからスタートして。それから物販の管理やチェキ撮影、そしてメンバーの管理もお願いするようになり、新グループの運営まで頼むことになったのです。


女性運営の利点



 小松はいま大学生なので、メンバーと年齢が近いです。しかも同性ということで、ぼくにはわからないところがわかる。これは大きなメリットです。


 特に「女性の集団心理」なんかはそうですね。彼女いわく「学校とかでも、女子は最初の三ヶ月はニコニコして仮面かぶってる。その後に破裂するんですよ」と。実際レッツポコポコも、そのタイミングでメンバー間がヒリヒリし始めました。しかも、その空気がステージ上にも出るようになったのです。


 レッツポコポコは「ゆるめるモ!のクリエイティブチームがプロデュースする新グループ」という形でメンバーを募集したのですが、本気で売れたい子もいれば、興味本位でアイドルをやってみたかった子もいて、そのモチベーションの違いでライブ活動に温度差が出てきたのがヒリヒリの原因でした。レッスンを休みがちになったり、頭が痛いと物販を休んだり。それにイライラする子もいれば気にしない子もいる。その噛み合わなさを彼女に相談する子が出てきたのです。


 そういうメンバー間の齟齬がある中、小松はメンバー同士で話し合いをさせる道を選びました。一時間半くらい討論して、全員泣きまくって。すると、本気で続ける子と辞める子にわかれ、目標に向かって再び頑張ることになりました。小松は、メンバー同士の意識のズレは必ずステージに出るという考えから、いまもライブの後の反省会を必ずしているようです。


 そういう荒療治は、ぼくにはできません。やはり異性だからそこまで入り込めない。「問題があったら解決してから次に進まないといけない。女子はイヤな空気だけ出して、それで解決したと勘違いする」「わたしはぜんぜん嫌われて大丈夫なんで」と小松は頼もしく言ってくれています。


 そういう女性運営というか、彼女ならではの距離感でレッツポコポコは今後どう育っていくか楽しみです。小松自身は「2年で売る。ゆるめるモ!が売れたスピードは越えたい」と言ってますね。1年半でリキッドルームクラスでワンマンをやって、ゆくゆくは『みんなのうた』に出たいと。ゆるめるモ!よりも、多くの人にとっつきやすいことをやっていると思うし、今は最初からアイドルファン以外にアプローチできる要素や可能性がないと先がないと思っているので、小松とレッツポコポコのチームがどこまで伸びるか期待しています。


メジャーデビューに向けて



 メンバーから「ゆるめるモ!はメジャーデビューに向けて動いている」なんて発言があったりして、気になっている人にご心配かけていると思うのですが……ゆるめるモ!はメジャーレーベルでの活動を目指しています。いままで「ゆるレコ」という自主レーベルと、スペースシャワーミュージックの両方からリリースしてきましたが、今の体制だとこれが限界だというのに気づいたからです。インディーズとして作り上げてきた現体制ではZeppが限界。この上の日比谷野音や武道館、全国アリーナツアーやホールツアーとなると無理です。


 それはセカンドアルバムで痛感しました。「今なら全国のタワーレコードに置いてもらえるから十分じゃないですか」って思われがちですけど、リリースの拡散力がメジャーだとさらに上なのです。今回のCDでいえばTSUTAYAさんにはぜんぜん置いてもらえなかったり、CDショップ大賞なんかも狙いたかったんですけど、超無名の自主レーベルからのインディーズ盤ではどうにもならない。


 それにぼくらのチームは、これから本格的に音楽業界に食い込むには所詮素人。業界経験者が誰一人いないのですから。メジャーレコード会社や大手事務所ならテレビ・ラジオ・雑誌へのつながりもあれば、動いてくれる担当もいるわけですが、ぼくらには全くそういう人脈がない。今後さらに大きな会場でライブをするためにも、メジャーの力を借りたいのです。大きな会場になるほど、抽選制だったり、放送局の後援が必要だったり、様々なしがらみがある。そうなるとメジャーレコード会社と組んだ方が最適だと判断しました。



 アイドルファンだとメジャー契約に批判的な人も多いです。枚数を売ることだけを期待するようなレコード会社だと、リリースイベントをさんざんやらされてメンバーもファンも疲弊してクオリティが下がる、ということになりかねないからです。そうならないように、「一緒に良い音楽を届けていこう」という意識を持ってくださっているレーベルと組まなくてはなりません。アルバム1枚作るにしろ、ぼくが曲やデザインや流通までぜんぶ見るのには限界がある。これがレコード会社と作ることになれば、それぞれのプロと分業できてより良いものが作れるはずです。


 メジャーレコード会社さんからのオファーは、リキッドルームの後くらいからいくつか来ています。ただ他の運営さんから話を聞くとあっさり決まるほど簡単でないようです。「もう決まり」って言ってたのに急に連絡がとれなくなったとか、担当者さんが「やりますよ!」と言ってたけど上の偉い人やお金の部分で通らなくなったとか。こっちの熱意だけではどうにもならない世界ですね。でもぼくらとしてはメジャー志向は変えるつもりはないので、その方向に進んでいくつもりです。


アイドルプロデュースは終わらない


「今のゆるめるモ!で田家さんのやりたいことはできていますか?」ってたまに聞かれますが、もちろんできています。ファーストアルバムとセカンドアルバムで、サウンドの毛色がかなり違うから聞かれる質問だと思うのですが、これはもともとの構想です。アイドルファンにもrockin〓n系のロックが好きな人にも、コアな洋楽ファンの人にも、それに普通のJ-POPが好きな人にも、それぞれ響くようなものを作るのが目標。より間口は広くしていかなきゃと考えています。


 フォークロックありファンクあり歌謡曲ありハードコアありで、やってる楽曲の幅の広さでは日本のアイドルグループで一番だっていう自負はあります。今はもう何をやっても、あのメンバーがやればゆるめるモ!っぽくなる自信がありますね。幅の広さもありつつ、新しさを更新できるグループでありたいです。



 これから先は日比谷野音や武道館は当たり前、常にその先を見ていきたいです。東京ドームとかワールドツアーとか、そのくらいのスケールでやれた時に何を見せれるか、を常に考えながら成長していきたいです。


 この先のゆるめるモ!は、知らずに見た人に「え、これアイドルなの?」と言われるような、わけのわからない存在になれればいいなと思っています。きゃりーぱみゅぱみゅとかBABYMETALみたいな、時代のアイコンです。だからこれから先、ゆるめるモ!の形がどうなっていくかぼくにもわかりません。もっとロックバンドっぽくなるのか、音楽以外のいろんな要素を取り入れていくのか……。ただ、ぼくらみたいな完全手作りのインディーズグループがそんなこと言えるようになったのは、やっぱりアイドルのフォーマットだから。アイドルの自由さって、すべてのエンターテイメントの中で一番。ぼくはそう信じています。


 この本が出た2年前に比べると、アイドル業界の状況も大きく変わりました。今までアイドル運営経験のなかった事務所が本格的なアイドルグループを始めたり、大人の力を借りずに女の子たちがセルフプロデュースで始めたり、いままでにない楽曲やイベントを打ち出すグループも増えました。ずいぶんと裾野は広がったと感じます。


「楽しい音楽と可愛い女の子がいれば、つまらないはずがない」前にも書いた一文ですが、これだけは不変です。これからのアイドル界、もっと盛り上げていきましょう!


(2016年6月 都内にて)

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