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ガイドブックには載っていない タイ 裏の歩き方
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ルポ・エッセイ
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女同士の愛人争奪ムエタイ決戦【ラヨーン】

『ガイドブックには載っていない タイ 裏の歩き方』
[著]高田胤臣 [発行]彩図社


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~衝撃? 予想通り? 愛を賭けた真剣勝負の行方とは?



 海外に行くと日本のモノサシでは考えられないことがある。それが東南アジアとなればなおのこと不可思議な行動を起こす人が多い。そんなタイの観光庁が数年前に打ち出した観光客誘致のスローガンが「アメージング・タイランド」。自虐ネタに走ったのかと思ってしまった。



 ●数年前は阿部定事件が大流行


 とにかくタイは日々日本では考えられない出来事がわんさかと発生する。13年以上暮らしている僕でもいまだに驚かされることばかりだ。ニュースを見ていると日本が元気なさすぎるのではないかと思うほど、クラクラと目眩のするようなネタが提供される。


 いまから数年前は、浮気をした夫が寝ている間にアレをちょん切ってしまうという事件が多発した。タイは昔からこの手の阿部定事件が多い国で、いまでは医者の腕前も上達。性転換手術はもちろん、くっつける方の手術のレベルもかなり高い。

「女房がアヒルを飼いだしたら注意しろ」


 とも言われ、切ったアレはアヒルに食わせるのだとか。数年前にこれが相次いだ初期は、ちょん切って我に返り逃げ出すというパターンばかりだったが、後半の模倣犯はひねりを加えてくる。ちょん切ったあと、アレを持って逃走などのパターンだ。現場にアレが残っていればおっ立つまでの回復は望めなくても小便くらいはできるようになるが、持ち去られてしまうと修復不能。もはやニューハーフの世界に入るしかなくなる。


 近年はパタヤがアメージングの供給元になっているようで、キャストにクレイジーな白人も加わるなど多彩な演出が魅力だ。最近は欧米の白人さんがこれでもかというほど、ホテルやコンドミニアムの窓やバルコニーから転落したり、ニューハーフに暴行されている。


 こういったニュースはバンコクに編集部を置く無料新聞「ニュースクリップ」のウェブサイトが伝えてくれる。淡々とシュールにアメージングニュースが掲載されるので、毎日欠かさずに訪問してしまう。




 ●男をかけてムエタイ対決


 2013年5月7日のラヨーン県でのニュースもまた印象深く、かつタイの奥ゆかしき乙女たちの物語を垣間見た気がした。


 29歳の愛人に夫を奪われた本妻(27歳)が、夫を我がものにする権利と賞金4万バーツを賭けて愛人とムエタイで決闘しようということになったのだ。


 普通に考えれば裁判や話し合いで決着をつけるところだが、拳でものを言わせてやらにゃあ気が済まねえぜ! となったのでしょう。


 もうね、その辺の思考回路は「タイですから」で片付けるしかない。我々日本人には到底理解できない。いや、茨城県辺りのガチなヤンキー娘にならわかってあげられるかもしれないけど。




 かくしてその決闘の火ぶたは切って落とされた。って、誰も止めないんだなあ。実際その会場で観たわけではなく「ニュースクリップ」で読んだだけなのだが、行間から手に汗握る、愛情と憎悪の喜劇を読んで取れるわけで。ね、こんなにオモロ~なニュースサイト、ないでしょ?


 そして試合は、愛人よりも17キロも重い本妻が愛人を散々に打ちのめし勝利したのだった。


 きっとセコンドに抱え上げられた本妻は高々と両腕を挙げ、報道陣でごった返すリングの上でロッキーが妻の名前を叫んだように、愛する夫の名前を呼ぼうと思っていたでしょう。感動のシーンじゃあないですか。しかし、現実には本妻は勝利後も表情を曇らせるしかなかった。


 というのは、当の夫が試合中、マジで愛人の応援をしていたからだ。


 まあ、そうなるのも当たり前、だから話し合えって言ったでしょうが。すでに愛人作っている時点で本妻に戻る確率が低いし、ムエタイで愛する女がボッコボコに殴られたら「ええ?」ってドン引きするでしょう。


 本妻は試合に勝って、勝負に負けたのでした。チャンチャン。



※アメージング・タイランド

これはタイ政府観光庁の名キャッチコピーで、もうひとつの名キャッチコピーは「タイは若いうちに行け」だ。これはタイ国際航空の1990年代のコマーシャルで、俳優のいしだ壱成やTOKIOの長瀬智也が起用され、行ってみたいと思わせる素晴らしい映像だった。

※ニュースクリップ

2002年11月に創刊の、ニュースに特化した無料新聞。月2回発行。ウェブサイトもあり、タイのニュースを中心にアジアの情報を紹介。ビジネス情報も豊富。

【URL】http://www.newsclip.be/

※ラヨーン県

タイ東部の県で、タイ湾に面する。歴史的には、タークシン王が王朝を作る以前にアユタヤ王朝を攻め込んできたビルマ軍と闘うためにこの地で海軍を組織した。

※本妻は試合に勝って、勝負に負けた

その後、この夫婦がどうなったのかはわからない。タイは事件などがあってもその後について報道が少ない。昨今はSNSの発展で一般市民が特権階級の暴挙を暴いたりすることで世論が動き、警察も逮捕せざるを得なくなるが、逮捕=一般市民の勝利で盛り上がり、それで終わってしまう。基本的には裁判の行方などは報道されない。うやむやのうちに無罪放免にされている可能性もあるが、タイ人は気にしていないようである。


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